【検察ユニオン緊急論説】「エンゼル税制」ではありません。「エンジェル税制」です―制度名すら正確に扱えない捜査情報で、国民を犯罪者扱いして大丈夫ですか

まず制度の名前をそろそろ覚えてください。話はそれからです

メディアの皆さん、そして捜査情報を外部へ伝えている横浜地検の皆さん。

今回問題となっている制度は、「エンゼル税制」ではありません。

正式名称は、「エンジェル税制」です。

経済産業省も国税庁も、一貫して「エンジェル税制」と表記しています。経済産業省は、スタートアップへの投資を促進するための税制措置として「エンジェル税制」を案内し、都道府県等による確認書の交付から確定申告までの正式な手続を説明しています。国税庁も同じく「エンジェル税制の概要等」として制度を公表しています。

これは細かい揚げ足取りではありません。

制度そのものが刑事事件の核心なのであれば、制度名くらい正確に伝えるのは最低限のスタートラインです。

「エンゼル税制」という不存在の制度名を、捜査関係者(小林検事や山口検事)から聞いたメディアがそのまま流しているのだとすれば、問題は単なる誤字ではありません。

情報源自身が制度を正確に理解していない可能性を疑うべきだからです。

目次

1 制度名を間違える人たちが、「制度悪用」をどこまで理解しているのでしょうか

今回の事件では、

「エンジェル税制を悪用した」

「還流させた」

「キックバックだった」

といった、極めて強い言葉が使われています。

ところが、その制度を語る際に「エンゼル税制」と呼んでいる関係者がいるのであれば、検察ユニオンとしては極めて素朴な疑問があります。

制度名さえ正確に認識していないのに、どの条文、どの要件、どの確認手続を検討して「悪用」と判断したのでしょうか。

覚える頭すらないのに、考える頭などあるはずもありません。

エンジェル税制は、ただ「投資したら税金が安くなる制度」という一行で終わるものではありません。

投資先企業の要件。

投資家の要件。

払込みによる株式取得。

都道府県等による確認。

確認書の交付。

確定申告への添付。

場合によっては、投資前の事前確認。

制度ごとに異なる優遇内容。

こうした一連の制度構造があります。

これらを理解した上で「悪用」と判断しているのであれば、当然、制度名も正確に扱えるはずです。

名前を間違えながら制度趣旨だけは完全に理解している、というのであれば、なかなか高度な能力です。

少なくとも国民には、その能力がどのように発揮されたのか説明していただきたいと思います。

2 山口検事、小林検事、本当に「エンジェル税制」の事件を捜査していますか

検察ユニオンには、山口検事、小林検事による取調べや周辺発言について、複数の情報が寄せられています。

もちろん、伝聞については本人への確認が必要です。

しかし、本件で最も重要なのは、担当検察官が、

エンジェル税制の正式な制度構造
所管行政機関
都道府県等による確認手続
払込み後の確認
確定申告に必要な書類
再投資や後続取引について実際にどの禁止規定があるのか

をどこまで具体的に把握した上で取調べを行っているのかという点です。

もし制度名まで「エンゼル税制」と認識しているのであれば、かなり心配です。

「天使だからエンゼルでしょう」という英語の授業ではありません。

国民の身柄を拘束し、所得税法違反を問おうとしている刑事事件です。

制度名の正確性は、その制度をどこまで調査したかを測る、非常に分かりやすい試験問題です。

一問目から誤答しておいて、

「あなたは制度を悪用しましたね」

と言われても、国民としては、

「先生、まず教科書の表紙を読んでください」

と言いたくなります。

3 横浜地検の皆さん、情報漏えいに自信があるなら、せめて正確に漏らしてください

さらに深刻なのは、今回に限らず、国税局や検察庁内部の捜査情報が外部へ流れているとの情報が、検察ユニオンに継続的に寄せられていることです。

鹿児島地検及び熊本国税局に関係する事件についても、NHKへ捜査情報が伝わったのではないかとの疑義について、当組合は以前から問題提起を行っています。

この点は、現時点で公的機関による確定的な認定がなされているものとして扱うべきではありません。

だからこそ、本来であれば、NHKを含む報道機関には、

「誰から、どのような資料を得たのか」

「公判前の捜査情報をどのように裏付けたのか」

「国税局又は検察関係者から情報提供を受けていないか」

という基本的な説明を求めたいところです。

当組合がNHKへ確認を求めた際、十分な説明を受けられなかったとの経緯もあります。

報道機関には取材源の秘匿という重要な原則があります。

しかし、情報源を秘匿できることと、誤った情報を検証せずに流してよいことは別問題です。

取材源を守るなら、なおさら情報そのものは正確に確認してください。

「エンゼル税制」と伝えられたなら、一度検索すれば分かります。

経済産業省のページを開けば、一秒で「エンジェル税制」と確認できます。

それすら確認せずに刑事事件の情報を流しているのであれば、

情報源を守る以前に、情報の品質を守ってください。

4 オールドメディアの皆さん、取材先は検察庁だけではありません

メディア各社は、国税局や検察庁から情報を得ることを「独自取材」と呼ぶことがあります。

もちろん、それ自体を否定するつもりはありません。

捜査機関への取材は重要です。

しかし、捜査機関から情報を得ただけで事件全体を理解したことにはなりません。

なぜなら、捜査機関は事件の一方当事者だからです。

被疑者側。

弁護人。

会社関係者。

投資家。

行政担当者。

公認会計士。

税理士。

株主。

制度所管官庁。

これらを取材して初めて、事件の全体像に近づきます。

エンジェル税制なら、まず経済産業省の制度説明を読んでください。

国税庁の制度説明も読んでください。

その上で、

「検察はこう言っている」

「一方、制度所管側の公表資料にはこう書いてある」

「当事者側にはこの反証がある」

と報じる。

それが報道です。

検察官から聞いた単語を、そのままテロップにすることではありません。

実際に、エンゼル税制と誤った報道をしていても、そのマネジメントすらできないのが国税局と検察の能力です。

5 検察ユニオンなら、「エンゼル税制」と「エンジェル税制」の違いくらい無料で教えます

そこで、オールドメディアの皆さんへご提案です。

検察ユニオンは取材に応じます。

山口検事や小林検事よりも制度名を正確に伝えられる自信があります。

少なくとも、

「エンゼル税制ではありません。エンジェル税制です」

という第一歩からお手伝いできます。

しかも無料です。

経済産業省のページもお送りします。

国税庁のページもお送りします。

制度の確認手続も説明します。

増資登記と刑事評価が別問題であることも説明します。

「還流」という一語だけでは法律関係が決まらないことも説明します。

もちろん、検察側の主張に合理性がある部分は、それも紹介します。

報道に必要なのは、どちらか一方の広報官になることではないからです。

6 「エンゼル税制」という誤記は、実はかなり象徴的です

今回の誤りを、単なるカタカナの問題として笑って終わることもできます。

しかし、検察ユニオンは、もう少し深刻に受け止めています。

本件ではこれまで、

「還流」

「キックバック」

「休眠」

「架空」

「悪用」

といった、刺激的で分かりやすい言葉が先行しています。

しかし、それぞれの言葉について、

「法律上どういう意味なのか」

「どの条文に基づくのか」

「どの証拠で認定したのか」

という説明が十分に見えてきません。

そこへ来て「エンゼル税制」です。

制度名そのものまで曖昧だったとすれば、

難しい部分だけ間違えたのではなく、入口から間違えている

可能性があります。

刑事事件で恐ろしいのは、難しい法律解釈を間違えることだけではありません。

最初の前提を間違えたまま、大量の証拠をその前提に合わせて読んでしまうことです。

「この人は悪用した」

という結論を先に置けば、

行政確認も怪しく見える。

増資登記も怪しく見える。

コンサルティングも架空に見える。

後続取引もキックバックに見える。

そして最後には、

制度名すら正確に覚えていなくても、

「とにかく悪い制度利用だった」

という物語だけが残ります。

これが最も危険です。

7 報道各社にお願いしたい、たった三つの確認

今後、この事件を報じるのであれば、少なくとも三つだけ確認してください。

第一。

制度名は「エンジェル税制」です。

第二。

その記事に書いている「還流」「キックバック」「悪用」は、検察側の見立てなのか、裁判所が認定した事実なのかを区別してください。

第三。

制度所管官庁、確認を行った行政機関、投資家及び当事者側にも取材してください。

これだけでも、記事の正確性は大きく変わります。

8 小林検事、山口検事にもお願いしたい、たった一つの宿題

山口検事、小林検事にもお願いがあります。

次回の取調べまでに、一度、経済産業省の公式サイトを開いてください。

そこには大きく、

「エンジェル税制」

と書いてあります。

その上で、

どの制度を使ったのか。

どの要件を満たさなかったのか。

どの申請書が虚偽なのか。

どの払込みが仮装なのか。

どの後続取引が架空なのか。

どの条文に違反するのか。

それを一つずつ説明してください。

国民が求めているのは、それだけです。

結論 天使の名前くらい、正確に呼びましょう

検察ユニオンは、検察を批判するためだけに存在しているわけではありません。

制度を悪用した犯罪があるなら、厳正に立証してください。

不正な還付があるなら調査してください。

架空取引があるなら証拠を示してください。

しかし、そのためにはまず、

対象となっている制度を正確に理解してください。

「エンゼル税制」ではありません。

「エンジェル税制」です。

情報をリークする側も。

記事を書く側も。

逮捕する側も。

取り調べる側も。

まずここからです。

そしてオールドメディアの皆さん。

捜査機関からの情報だけでは不安でしたら、検察ユニオンにも取材してください。

制度名は正確にお伝えします。

一次資料も確認します。

反論も示します。

検察側の主張も検証します。

取材源に自信があるのであれば、なおさら、別の情報源と突き合わせることを恐れる必要はありません。

私たちは逃げません。

質問にも答えます。

少なくとも、

「エンジェル税制です」

という回答くらいは、即答できます。

国税ユニオンと検察ユニオンはこちらから

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