法的根拠を示さず、被疑者の良心だけを尋ね続ける横浜地検へ

目次

「正しいことだと思いますか」と聞く前に、何が違法なのか説明してください

横浜地方検察庁の取調べでは、金本重徳氏に対し、繰り返し次のような質問が行われていたとされています。

「正しいことだと思いますか」

しかし、検察官が金本氏に示すべきものは、抽象的な道徳問題ではありません。

どの行為が、どの法令の、どの構成要件に該当するのか。

金本氏が、いつ、どの事実を認識し、誰と、どのような犯罪を共謀したと判断しているのか。

投資、株式取得、行政照会、コンサルティング契約及び送金のうち、どの部分が虚偽又は仮装であり、金本氏がそのことを認識していたとする証拠は何なのか。

検察官が説明すべきなのは、これらの具体的事実です。

それにもかかわらず、法的根拠も問題となる具体的行為も示さず、「正しいと思いますか」と金本氏の主観的評価だけを尋ね続けているのであれば、それは犯罪事実を解明するための取調べではありません。

検察官が自ら設定した道徳問題に、被疑者が期待どおりの回答をするまで続ける、答えの決まった面接です。

何が間違っているのか分からない人に、「間違っていると思いますか」と聞く不合理

金本氏は、本件の取引について、行政機関への照会を受領し、公認会計士その他の専門家からも回答を得ていたとされています。

少なくとも金本氏の認識としては、専門的な確認を経ながら手続を進めていたことになります。

そのような人物に対し、どの行政回答が誤っていたのか、どの専門家の説明が不適切だったのか、どの契約のどの部分に問題があるのかを説明しないまま、「正しいことだと思いますか」と尋ねても、本人は何を対象として回答すればよいのか分かりません。

何が誤っている可能性があるのかさえ示されていない状態では、対象となる行為を具体的に認識し、犯罪を実現しようとする意思があったのかどうかも判断できません。

一般に、故意とは、単に後から「良いことではなかったかもしれない」と感じることではありません。

犯罪の成立に必要となる具体的事実を認識しながら、その行為を行う意思が問題となります。

取引金額が大きかったことへの現在の感想、結果として問題が生じたことへの後悔、捜査機関から繰り返し否定的な質問を受けたことによる不安は、犯罪成立に必要な故意や共謀とは別のものです。

にもかかわらず、検察官が具体的な事実認識を確認せず、「正しかったと思うか」「悪いと思わなかったか」とだけ尋ねるのであれば、故意を立証しているのではありません。

後悔や動揺を、自白に似た言葉へ変換しようとしているだけです。

検察官は、道徳の教師ではありません。

刑事裁判で判断されるのは、被告人が検察官と同じ道徳感情を持っているかどうかではありません。

検察官から見て好ましくない取引であったとしても、それだけで犯罪にはなりません。

反対に、本人が「正しいことをした」と信じていても、客観的に犯罪の構成要件を満たし、必要な故意が認められれば犯罪が成立する場合はあります。

つまり、「正しいと思いますか」という質問は、それ自体では犯罪の成否を明らかにしません。

法律家である検察官が行うべきなのは、道徳的な自己批判を促すことではなく、犯罪成立に必要な事実を一つずつ特定し、証拠によって立証することです。

金本氏に尋ねるべきなのは、少なくとも次の事項です。

どの行政機関へ、誰が、どのような内容を照会したのか。

金本氏は、その回答をどのように受け取り、どの点を信用したのか。

公認会計士その他の専門家から、どのような説明を受けたのか。

問題とされる契約について、どの役務が提供され、どの役務が提供されなかったのか。

金本氏が、提供されていない役務が存在すると装った事実はあるのか。

投資又は株式取得について、誰が、どのような条件を説明したのか。

金本氏が虚偽であると知っていた具体的事実は何なのか。

誰と、いつ、どの犯罪を実行することについて合意したのか。

これらを示さないまま、「正しいと思いますか」と聞き続けることに、法律上どのような意味があるのでしょうか。

それでは検察官にも聞きます。「正しいことだと思いますか」

検察官が、法的根拠を示さず、被疑者に抽象的な道徳評価を求めるのであれば、検察組織自身にも同じ質問をしなければ公平ではありません。
そこで、質問もできず、悪口を言いふらすだけと取り調べを受けた方々から評価されている小林検事と山口検事に質問します。

大阪地検の元検事正が、部下の女性検察官に対する性的暴行事件で起訴され、初公判で起訴内容を認めた事件について、検察組織は正しいことだと思いますか。

被害を訴えた女性は、元検事正から、被害を公にすれば大阪地検が立ち行かなくなるという趣旨を伝えられ、長期間にわたり被害を申告できなかったと説明しています。

組織の信用を守るために、被害を受けた職員が沈黙を強いられるような状態は、正しいことだと思いますか。

東京地検特捜部に所属していた検事が、自ら捜査を担当した女性と不適切な関係を持ち、公費で宿泊費が支出されたホテルで性的行為に及び、電子マネー等を受け取ったとして、2026年7月に懲戒免職となった事件について、正しいことだと思いますか。

東京地検は、この行為について、検察官の職権行使の公正性に対する信頼を根本から揺るがすものだとして謝罪しました。

さいたま地検に所属していた検事が、交際相手の信頼を得る目的で、検察官専用端末から取得した前科情報を漏らし、罰金の略式命令を受けて懲戒免職となった事件について、正しいことだと思いますか。

プレサンス事件をめぐり、取調べの際に「検察なめんなよ」などと発言し、机をたたいたとされる現職検事が、特別公務員暴行陵虐罪の付審判によって刑事裁判にかけられている事態について、正しいことだと思いますか。

当該検事は無罪を主張しており、有罪が確定した事件ではありません。しかし、現職検事が取調べをめぐって付審判により刑事裁判の被告人となったこと自体、検察の取調べの在り方が司法審査の対象になっている重大な事実です。

大阪地検特捜部の研修中に、主任検事から「お前、事件を潰す気か」「ポンコツだな」「3時間睡眠で仕事を回せるだろ」などと述べられたとする元検事の手記が公表され、大阪高検がパワーハラスメントを認定しながら、処分は行われなかったと報じられた件について、正しいことだと思いますか。

検察官が被疑者に道徳的反省を求めるのであれば、まず検察組織自身が、これらの行為を一つずつ検証しなければなりません。

「正しいか、正しくないか」以前に、検察には、「気持ちが悪い」と嫌悪される行為があります

検察ユニオンの組合員からは、捜査対象となった女性と性的な関係を持ち、立場の優越性を背景として金品を受け取るような行為について、単に「正しくない」という言葉だけでは足りず、「とにかく気持ちが悪い」との率直な声が上がっています。

これは、検事個人の容姿、私生活又は性的指向を攻撃するものではありません。

国家権力を行使して取り調べた相手との間で、職務上の関係を性的・金銭的関係へ転化させる行為そのものに対する評価です。

検察官は、被疑者、参考人及び事件関係者の自由、名誉、財産及び将来を左右し得る立場にあります。

その検察官が、捜査対象者との力関係を私的な関係に利用し、性的関係を持ち、金品まで受領するのであれば、それは「正しいか、正しくないか」を穏やかに話し合い、改善を促せば済む程度の問題ではありません。

公権力と私欲の境界が崩壊した、嫌悪感を伴う行為です。

当組合が「とにかく気持ちが悪い」と表現するのは、人物の存在そのものを否定するためではありません。

検察官という立場を利用して、捜査対象者との関係を私物化する行為に対し、市民が抱く自然で率直な拒絶感を表したものです。

検察官が市民に対して「正しいことだと思いますか」と道徳を問うのであれば、自らの組織で繰り返されるこのような行為についても、市民から同じ問いを受ける覚悟が必要です。

被疑者には具体的事実を示さず、検察官の不祥事には曖昧な言葉を使うのですか

検察は、被疑者に対しては「悪いと思わなかったのか」「正しいことだと思うのか」と執拗に迫ります。

一方、検察官自身の問題が明らかになると、「不適切な関係」「信用を失墜させる行為」「極めて遺憾」といった抽象的な表現が並びます。

なぜ、被疑者には具体的な反省の言葉を要求するのに、検察官の行為については、誰が、どの権限を利用し、何を行い、誰が被害を受け、組織がどの時点で把握していたのかを徹底的に明らかにしないのでしょうか。

被疑者に対して「正しいと思うか」と迫るのであれば、検察官にも同じ基準を適用すべきです。

捜査対象者と性的関係を持つことは正しいと思いますか。

捜査関係者から金品を受け取ることは正しいと思いますか。

公費で確保されたホテルを私的行為に利用することは正しいと思いますか。

交際相手のために前科情報を漏らすことは正しいと思いますか。

部下に対する性加害を、組織への影響を理由に申告しにくくさせることは正しいと思いますか。

取調室で机をたたき、威圧的な言葉によって供述を求めることは正しいと思いますか。

部下を「ポンコツ」と呼び、睡眠を削って働くことを求めることは正しいと思いますか。

一つでも「正しくない」と答えるのであれば、金本氏に対しても、抽象的な道徳問題ではなく、具体的な行為と法的根拠を示してください。

金本氏の意思を問題にするなら、まず判断の前提を調べてください

本件で重要なのは、金本氏が現在、取調室で何と答えるかではありません。

取引当時、どのような情報を与えられ、どの行政回答及び専門家の意見を信頼し、どのような契約及び役務提供が存在すると認識していたのかです。

金本氏が、行政機関及び公認会計士から回答を得ていたのであれば、検察は、その回答の作成者及び回答過程を調査すべきです。

回答が誤っていたというのであれば、どこが、なぜ誤っていたのかを示すべきです。

中野爵喜氏が行政回答又は専門家の見解を歪めて説明していた可能性があるなら、その可能性も検証すべきです。

役務提供が現実に行われていた可能性、投資としての経済的実体が存在した可能性、後の資金移動だけに別の問題があった可能性も、排除せず調べるべきです。

それを行わず、逮捕後の金本氏に「正しいと思いますか」とだけ尋ねても、当時の意思は明らかになりません。

身体を拘束され、処分を左右する検察官から同じ問いを繰り返された人が、疲労や不安から「正しくなかったかもしれない」と答えたとしても、それは犯罪の故意を認めたことにはなりません。

何が間違っているのかを知らされていない人間に、間違っていると思うかと聞くこと自体が、論理として成立していないのです。

横浜地方検察庁への公開質問

金本重徳氏に対し、小林検事や山口検事が「正しいことだと思いますか」と質問したことは事実ですか。

その質問が対象とする具体的行為は何ですか。

その行為は、どの法令の、どの構成要件に該当すると判断していますか。

金本氏が認識していたとする具体的な虚偽事実は何ですか。

金本氏が行政機関から得ていた回答の内容を確認しましたか。

当該行政回答を作成又は伝達した担当者から事情を聴きましたか。

金本氏が公認会計士その他の専門家から受けた説明を確認しましたか。

専門家の説明が誤っていると判断するのであれば、その法的根拠を示しましたか。

株式会社Nから提供されたコンサルティングのうち、どの役務が存在しないと判断していますか。

金本氏が、その役務が存在しないと知っていたことを示す客観的証拠は何ですか。

「正しいと思いますか」という質問は、どの犯罪の、どの主観的要件を確認するためのものですか。

金本氏が「正しくなかったと思う」と回答した場合、その言葉を故意又は共謀を認める供述として使用する予定ですか。

検察官自身の不祥事についても、同じ方法で「正しいと思っていたか」と繰り返し尋ねれば、事実が解明できると考えていますか。

道徳を問う前に、法律を説明してください

検察ユニオンは、金本重徳氏が無罪であると、この記事だけで断定するものではありません。
オールドメディアに捜査情報を漏洩し続けた代償はこれから壮大なカウンターになって横浜地検に戻ってきます。

検察が、今後、具体的な客観証拠によって犯罪事実を立証する可能性まで否定するものでもありません。

しかし、犯罪を立証する責任は検察側にあります。

被疑者に抽象的な道徳問題を繰り返し、自らを悪人だと評価する言葉を引き出すことが、立証ではありません。

「正しいと思いますか」と聞く前に、何が違法なのかを説明してください。

どの事実が虚偽であり、金本氏がそれを知っていたとする証拠を示してください。

行政機関と公認会計士の回答を信頼した人物に犯罪の故意があったというのであれば、その信頼を覆す具体的事情を示してください。

そして、検察官が市民へ道徳を問うのであれば、検察組織自身も、近年相次いでいる不祥事について、市民からの問いに答えてください。

捜査対象者との性的関係は、正しいことだと思いますか。

捜査関係者から金品を受け取ることは、正しいことだと思いますか。

性被害の申告を組織の信用によって抑圧することは、正しいことだと思いますか。

前科情報を私的な目的で漏らすことは、正しいことだと思いますか。

取調室で相手を威圧し、検察の筋書きへ従わせることは、正しいことだと思いますか。

検察ユニオンの答えは明確です。

いずれも正しいとは考えません。

そして、一部の行為については、「正しくない」という穏当な表現だけでは足りません。

公権力を利用して捜査対象者に性的関係を迫り、金品を受け取るような行為は、正しいか否か以前に、率直に言ってとにかく気持ちが悪い。

検察官が市民に「正しいことだと思いますか」と尋ねるのであれば、まず、自らの組織で起きている行為を直視してください。

金本氏の良心を取り調べる前に、犯罪を構成する事実を取り調べてください。

道徳的な回答を迫る前に、法律と証拠を示してください。

国税ユニオンと検察ユニオンはこちらから

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