熊本国税局と鹿児島地検の追起訴を皆で待ちましょう
検察ユニオンは、中野爵喜被告をめぐる熊本国税局と鹿児島地方検察庁の捜査について、引き続き注視しています。
なぜなら、関係者間で「馬見塚メモ」と呼ばれている資料には、株式会社ラストワンマイル、渡辺誠氏、複数の法人、出資取引、外注費、貸付、広告費、資金還流など、非常に大きな構図が描かれているからです。
資料には「不正全体図」「告発、起訴、逮捕」といった、ずいぶん勇ましい言葉まで並んでいます。
ところが、現時点で報道により確認できる中野被告の脱税額は、最初の事件の約1,200万円と、その後に起訴された別法人の事件約6,600万円を合計して、約7,800万円です。
もちろん、約7,800万円は決して小さな金額ではありません。
しかし、あれほど壮大な「不正全体図」を描き、ラストワンマイルグループ、複数法人、多数の関係者、数十億円規模の出資取引まで並べた結果が、現在のところ約7,800万円なのであれば、馬見塚メモの本編は、まだ始まってすらいないのでしょう。
所得隠しと脱税額は足し算してはいけません
2026年7月の一部報道では、中野被告に関し、「所得隠しと脱税額は合わせて約2億4,000万円」と伝えられました。
しかし、所得隠し約1億7,300万円と、免れた税額・不正還付額約6,600万円は、性質の異なる数字です。
所得は課税対象となる金額であり、脱税額は本来納付すべき税金や不正に受けた還付金です。
この二つを足して「合計約2億4,000万円」と報じれば、一般の読者には、あたかも2億4,000万円を脱税したかのような印象を与えかねません。
検察ユニオンは以前から、ラストワンマイル社が損益計算書上の異なる数字を足し合わせるような説明をしているとの問題を指摘してきました。
そして今度は、国税・検察の発表を受けた報道において、所得隠しと脱税額が足し算されました。
ラストワンマイルと捜査機関は、いつから「種類の違う数字でも、大きく見えれば足してよい」という同じ算数教室へ通うようになったのでしょうか。
「1億円未満なら告発されない」は法律ではない
一般論として、査察事件では1億円を超える事案が告発されると言われています。
大阪国税局が公表した令和6年度の査察実績では、検察庁へ告発した事案の1件当たり平均脱税額は約8,800万円でした。
もっとも、「脱税額が1億円未満なら告発しない」という法律や全国一律の公表基準が存在するわけではありません。
国税当局は、脱税額だけでなく、手口の悪質性、反復性、証拠隠滅、国際性、社会的波及効果などを踏まえて告発を判断するとしています。
したがって、中野被告の事件が約7,800万円だから不自然だと断定することはできません。
一方で、通常より大規模な捜索、多数の関係先に対する差押え、鹿児島地検・福岡高検の関与、国外関係者への旅券返納命令要請まで報道された事件として見れば、現時点の起訴内容だけで全てが終わるとは考えにくいのも事実です。
馬見塚メモの大風呂敷は、これから回収されるのでしょうか
馬見塚メモと呼ばれる資料には、ラストワンマイル社や渡辺誠氏を含む、多数の法人・人物・資金移動が記載されています。
そこまで書いたのであれば、当然、その一つ一つが調査されるものと検察ユニオンは期待しています。
約7,800万円で終了してしまえば、資料に描かれた複雑な資金還流、エンジェル税制、出資、株式譲渡、関連会社取引、外注費、貸付金は、一体何だったのでしょうか。
単なる落書きだったのでしょうか。
捜査を動かすために、話を大きく見せる目的で作られたプレゼン資料だったのでしょうか。
それとも、今後、ラストワンマイル社および渡辺誠氏周辺を含めて、次々と告発・起訴が続くのでしょうか。
検察ユニオンは、熊本国税局と鹿児島地検が広げた大風呂敷を、最後まで責任を持って畳む姿を楽しみに待ちたいと思います。
追起訴を楽しみに待つための公開質問
熊本国税局・鹿児島地検への質問
- 現在報道されている約7,800万円の脱税額をもって、中野被告に関する税事件の捜査は終了したのですか。
- 馬見塚メモと呼ばれる資料に記載された、ラストワンマイル社および渡辺誠氏に関する資金移動を調査しましたか。
- 同資料に記載された外注費、貸付、広告費、株式譲渡、エンジェル税制に関する取引を、全件確認しましたか。
- 資料に記載された法人・個人のうち、捜査対象とした者と、対象外とした者を分けた基準は何ですか。
- 所得隠し額と脱税額という性質の異なる数字を合算して報道させたのは、熊本国税局または鹿児島地検の説明によるものですか。
- 一般読者が「約2億4,000万円を脱税した」と誤解する可能性を認識していますか。
- 今後、ラストワンマイル社および渡辺誠氏周辺について追加告発・追加起訴が行われる可能性はありますか。
- 追加捜査を行わない場合、馬見塚メモに記載された壮大な「不正全体図」をどのように総括するのですか。
大きな話をした以上、小さく終わらせないでください
検察ユニオンは、脱税額が多いことを期待しているわけではありません。
求めているのは、捜査機関が自ら広げた事件の構図について、都合のよい人物だけを起訴して終わることなく、全てを公平に調査することです。
馬見塚メモにラストワンマイル社と渡辺誠氏の名前を書いたのであれば、そこも調べてください。
多数の法人を不正資金の流れとして結んだのであれば、全ての矢印を追ってください。
「告発、起訴、逮捕」とまで書いたのであれば、書いた側にも説明責任があります。
約7,800万円で閉幕するには、舞台装置があまりにも豪華すぎます。
検察ユニオンは、熊本国税局と鹿児島地検による次回作を、静かに、そして厳しく注視します。

