金本重徳氏逮捕の前に「共犯者」は完成していたのか

目次

馬見塚メモ、捜査情報漏洩、質問なき人物認定

金本重徳氏が逮捕された2026年7月23日、全国のニュースには「エンジェル税制の悪用」「所得税約3億6,700万円の脱税」といった強い言葉が並びました。逮捕は大きく報じられ、本人の氏名、経歴、SNS上の顔写真まで瞬く間に広がりました。

しかし、この事件の筋書きは、本当に逮捕後に明らかになったのでしょうか。

検察ユニオンが問題視しているのは、金本重徳氏の逮捕よりもはるか以前から、国税・検察側の捜査方針、関係者の評価、告発・起訴・逮捕の見通し、エンジェル税制をめぐる資金図、さらには「共犯者」とされる人物の名前まで、複数の外部関係者に流通していたとされる点です。

その象徴が、関係者間で「馬見塚メモ」と呼ばれている資料です。同資料には、株式会社ラストワンマイル、渡辺誠氏、齊藤悟志氏をはじめ、複数の法人・個人と資金移動が図式化され、「不正」「虚偽」「脱税請負人」「B勘屋」「告発」「起訴」「逮捕」といった断定的な表現が記載されているとされています.

裁判所が証拠を見る前に、誰かの机の上では、既に有罪判決まで終わっていたのでしょうか。そうでないというなら、この資料は誰が作り、誰が外部へ流し、国税・検察はどこまで利用したのかを説明する必要があります。

金本重徳氏逮捕以前から流通していた「馬見塚メモ」

検察ユニオンの調査では、馬見塚メモまたは同一内容を含む資料は、金本重徳氏が逮捕された後に作成されたものではありません。熊本国税局による査察、鹿児島地方検察庁による中野爵喜被告の逮捕、横浜地方検察庁による金本重徳氏への捜査が表面化するよりずっと前から、既に複数方面へ流通していたとされています。

しかも、そこに書かれているのは中立的な事実整理ではありません。特定の人物を「脱税請負人」や「B勘屋」と位置付け、特定の出資を「虚偽」と評価し、鹿児島地検や福岡高検が告発・起訴・逮捕へ動くとの見通しまで記載した内容です。

この資料が、国税・検察内部の情報を基に作成されたのであれば、重大な情報漏洩です。一方、もしも民間人が独自に作った私的メモにすぎないのであれば、なぜ、その後の逮捕や捜査経過と一定程度符合するのでしょうか。

捜査機関が資料を参考にしたのか。作成者が事前に捜査情報を得ていたのか。あるいは、両者の間で情報が往復していたのか。説明がない限り、疑問は自然に消えません。

本人には質問せず、周囲には「共犯者」と伝える捜査

検察ユニオンには、本件で共犯関係を疑われているとされる人物の中に、契約の経緯、役務提供の現場、金本重徳氏と中野爵喜被告のやり取り、口座や端末の管理状況について、具体的に説明できる人物が存在するとの情報が寄せられています。

ところが、その人物に対しては、問題視する具体的な取引、適用法令、共謀の根拠、確認したい事実がほとんど示されていない一方、第三者に対する事情聴取では、既に共犯者であるかのような前提で人物関係が語られているとの申告があります。

本人には聞かない。周囲には評価を広げる。本人が説明を求めても、何が疑われているかを示さない。これは捜査というより、先に人物像を作り、その後から証拠を集める手順に見えます。

刑事捜査は、抽象的な人物評を流通させる作業ではありません。具体的な行為を質問し、資料を確認し、反論の機会を与え、その上で証拠を評価する手続です。

記者クラブより先に情報が入る検察ユニオン

通常、報道機関は捜査機関の記者クラブ発表、公判記録、弁護人や関係者への取材を通じて事件情報を得ます。ところが本件では、正式発表より先に、逮捕予定、共犯者とされる人物、旅券返納命令の要請、押収物の取扱いなどに関する情報が、複数の関係者ネットワークへ流通していたとの申告が続いています。

検察ユニオンにも、報道機関が把握していない段階の情報が、独立した複数経路から寄せられています。これは検察ユニオンの情報収集力を誇る話ではありません。鹿児島地検、福岡高検、横浜地検、熊本国税局、東京国税局のどこかで、捜査情報の蛇口が開いたままになっている可能性を示す話です。

捜査情報を漏らせば、関係者は端末を替え、資料を移し、説明を合わせ、海外へ移動する準備もできます。その後で「証拠隠滅のおそれがある」「国外逃亡のおそれがある」として逮捕するのであれば、まず証拠隠滅や逃亡の機会を作った情報漏洩について調査すべきでしょう。

検察ユニオンが情報漏洩を問題にする公益的理由

検察ユニオンは、金本重徳氏や関係者を無条件に擁護するために情報漏洩を問題にしているのではありません。罪を犯した人物がいるなら、証拠に基づいて適正に処罰されるべきです。

しかし、捜査情報が特定の民間人や企業へ先行して流れれば、証拠の保全も、関係者の安全も、公平な事情聴取も損なわれます。漏洩した筋書きが報道や周辺人物の認識を支配すれば、無関係な人物の名誉や事業まで回復困難な損害を受けます。

情報漏洩を調べることは、被疑者を守るだけの活動ではありません。適正な捜査、証拠保全、被害者保護、冤罪防止、司法への信頼回復のために必要な検証です。

鹿児島地検・福岡高検・横浜地検への公開質問

  1. 馬見塚メモまたは同一・類似内容の資料を把握していますか。
  2. 資料の作成者、作成時期、提出先、共有先を調査しましたか。
  3. 資料に記載された「脱税請負人」「B勘屋」「共犯者」等の評価は、いずれかの検察庁または国税局の正式見解ですか。
  4. 正式見解でない場合、その評価を誰が作成し、誰が外部へ伝えたのですか。
  5. 馬見塚メモの内容を、逮捕状請求、令状請求、事情聴取、起訴判断に利用しましたか。
  6. 利用した場合、作成者の利害関係、情報源、反対資料をどのように検証しましたか。
  7. 共犯関係を疑う人物本人に、具体的な質問と反論の機会を与えましたか。
  8. 本人への質問より先に、第三者へ共犯者との印象を与える事情聴取を行っていませんか。
  9. 記者クラブ発表より前に捜査情報が外部へ流れていた事実を把握していますか。
  10. 情報漏洩について、検察官、検察事務官、国税職員、退職者、外部専門家を対象とする調査を行いますか。

熊本国税局・東京国税局への公開質問

  1. 馬見塚メモを作成、取得、共有または利用しましたか。
  2. 国税局OB、税理士その他の外部者へ、調査対象者、取引内容、告発・逮捕の見通しを提供しましたか。
  3. 資料に記載された人物本人へ質問する前に、「脱税請負人」「共犯者」等と評価しましたか。
  4. 国税庁監察官その他の部署へ、情報漏洩の疑いを報告しましたか。
  5. 報告していない場合、これほど広く流通した資料を問題視しない理由は何ですか。
  6. 漏洩情報により名誉、事業、家族関係へ損害を受けた人物に対し、説明と是正を行いますか。

鹿児島地検・福岡高検・横浜地検は、情報漏洩を止めてください

検察ユニオンが求めているのは、捜査情報を全て公開することではありません。捜査中の情報を適切に管理し、対象者の名誉と防御権を守り、質問すべき事項は正式な手続で本人へ示すことです。

本人には何も知らせず、周囲には筋書きが広がり、その漏洩情報を前提として本人を逮捕する。そのような手続では、刑事司法への信頼は維持できません。

鹿児島地検、福岡高検、横浜地検、熊本国税局、東京国税局の皆様には、どうか情報漏洩を止めてください。このままでは、次の逮捕情報も、次の共犯者名も、記者クラブより先に検察ユニオンへ届いてしまいます。

それは検察ユニオンの手柄ではなく、国家機関の失敗です。

国税ユニオンと検察ユニオンはこちらから

シェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次