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「納税者からの情報提供は受け付けない、しかしドアは開けろ」――国税局自身が呼びかけている情報提供制度を、査察部が現場で破壊した日

関係者押収の現場で何が起きたのか――馬見塚メモで個人情報を晒され続けた参考人に対し、漏洩状況を踏まえずにドア開放を命じた組織判断の構造的問題

グローバルユニオン(国税ユニオン)|首都圏青年ユニオン連合会
2026年4月22日|公式声明

本声明は、東京国税局査察部査察第21部門が令和7年10月に実施した関係者に対する押収の現場における重大な手続的矛盾、ならびに、その背景となった情報漏洩事案との接続関係について、当組合の正式な見解を表明するものです。

目次

第一 矛盾する二つの命令――「情報提供するな」と「ドアを開けろ」が同時に発せられた異常事態

東京国税局査察部査察第21部門の中村英人主査は、本件において、当組合員からの情報提供を制止し、「指示しないでください」という趣旨の発言を行いました。

ここで重要なのは、当該情報提供を行った当組合員は、嫌疑人でも参考人でもない、ごく普通の一納税者であったという事実です。すなわち、当組合員は、本件査察調査において嫌疑を向けられている立場にはなく、また反面調査の対象としての参考人としても位置付けられていない、純然たる第三者である一国民として、国税局に対して情報提供を行ったに過ぎません。

ここに、極めて深刻な論理矛盾が生じます。

国税庁および各国税局は、自らのウェブサイト上に「課税・徴収漏れに関する情報の提供」窓口を設置し、国民一般からの情報提供を広く呼びかけております。これは、税務行政の実効性を確保するため、国民の協力を制度的に組み込むための公式チャネルです。

国税局は、一方の手で国民一般に対して情報提供を呼びかけながら、他方の手で、現に情報提供を行った一納税者に対して「指示しないでください」と制止する。この構造は、国税局自身が制度として設けた情報提供チャネルの趣旨を、現場の査察部が破壊したことを意味します。

しかも、当該情報提供を行ったのは、嫌疑人でも参考人でもない一納税者です。一納税者からの自発的情報提供を「指示」と評価して制止することは、

第一に、国税庁が制度として呼びかけている情報提供制度の趣旨に正面から反し、

第二に、国民の表現の自由(憲法21条)の発露としての情報提供を、行政の都合で恣意的に制止するものであり、

第三に、何より、国税局自身が国民に対して呼びかけている協力の窓口を、査察部が現場運用において閉鎖したことを意味します。

ところが、まさにその同じ査察調査の押収現場において、当該押収の対象とされた参考人に対しては、「ドアを開けろ」という趣旨の命令が、東京国税局の側から発せられました。

しかも、当該参考人は、後述するとおり、馬見塚メモを通じて長期間にわたり個人情報を晒され続けてきた当事者です。

ここに、論理的に成立し得ない矛盾が二重に生じます。

一方では、純然たる一納税者からの自発的情報提供を「指示」と評価して制止し、その納税者の表現を統制しようとしながら、他方では、情報漏洩によって個人情報を晒され続けた参考人自身がドアを閉じたままにしておくという最も基本的な自由意思の発露を、行政側の命令によって「ドアを開けろ」と押し切ろうとした。

つまり、当該運用は、「一納税者からの情報提供は受け付けない、しかし参考人は東京国税局の命令には従え」という、国民の自律性を都合よく二重基準で扱う構造を露呈させるものです。これは、任意調査の根本原則に正面から反するものと評価せざるを得ません。

第二 国税局は、自ら国民に呼びかけている協力チャネルを、現場で閉鎖してはならない

国税庁は、ウェブサイト上の「課税・徴収漏れに関する情報の提供」フォーム等を通じて、国民一般から広く情報提供を受け付ける制度を構築しております。これは、税務行政の透明性と実効性を、国民の協力によって担保するという、近代的な行政運営の基本理念を具現化したものです。

ここで明確にしておくべきは、情報提供を行う国民は、嫌疑人や参考人として国税局から呼ばれた者に限られないという基本構造です。むしろ、嫌疑人でも参考人でもない一般国民からの情報提供こそが、当該制度の中核的な対象です。

それにもかかわらず、本件において、東京国税局査察部査察第21部門は、嫌疑人でも参考人でもない当組合員からの情報提供を「指示」と評価し、制止しました。これは、

第一に、国税庁ウェブサイトが現に呼びかけている情報提供制度の趣旨と矛盾し、

第二に、情報提供を行う国民の動機――「正しい税務行政の実現に協力したい」「自分の知る情報が事実認定に資するなら提供したい」という公共心――を、現場運用において否定するものであり、

第三に、結果として、国税局が公式に呼びかけている情報提供制度の信頼性そのものを毀損するものです。

仮に、当該情報提供の内容に行政側として不要な部分があったのであれば、その判断は受領後の評価において行えば足ります。情報提供の段階で「指示しないでください」と制止することは、情報の精査・取捨選択という行政側の本来的職責を放棄し、国民協力の入口段階で門戸を閉じる運用に他なりません。

第三 反面調査における任意性の法理――参考人には、応答するか否かを自ら決定する権利がある

国税通則法第74条の2以下に定める質問検査権は、対象者に対する応答強制を伴わない任意調査として制度設計されており、最高裁判決(最大判昭和48年7月10日・川崎民商事件)は、税務調査が刑事手続の前置的性格を持つ場合であっても、令状なき強制処分は許されない旨を明示しています。

押収の場面において接触される参考人――すなわち、嫌疑人本人ではなく、その関係者として押収現場に居合わせた第三者――は、そもそも嫌疑を向けられている立場にすらない、純然たる第三者です。

参考人がドアを閉じたまま応答しないという選択は、

第一に、突然訪問してきた者に対する身元・目的の確認を行うための、極めて常識的な自衛行動であり、

第二に、令状を伴わない場面における任意の応答である以上、応答するか否かを決定する自由が法的に保障された行為であり、

第三に、後述する情報漏洩リスクを踏まえた合理的自己防衛の発露でもあります。

第四 馬見塚メモという情報漏洩事案――当該参考人は「長期間にわたり個人情報を晒され続けていた当事者」だった

ここで、本件の特殊事情として極めて重要なのが、当該参考人が馬見塚メモを通じて長期間にわたり個人情報を晒され続けてきた当事者であったという事実です。

馬見塚メモは、令和7年2月時点で、嶋崎剛統括査察官(熊本国税局調査査察部査察第3部門)、川口延洋主査、太田啓介査察官らが関与した対面調査の場において、馬見塚武治税理士(元国税局査察官)と共有・書面化された内部情報であり、その後、極めて広範な第三者に流通したことが、本件の客観的経緯として確認されています。

このメモには、当該参考人を含む複数の関係者の氏名、役割、取引関係、さらには嫌疑構成の方針までが詳細に記載されておりました。すなわち、当該参考人は、国税局起点の情報流通によって、自らの氏名・関与状況が長期間にわたり外部に知られた状態に置かれていたのです。

この情報流通が及ぼす実害は、抽象的なものではありません。具体的には、

当該参考人の氏名と「捜査対象との関係」がセットで外部に伝わった結果、何者かを名乗る人物が突然訪問してくるリスクが、長期間にわたり継続的に生じていたこと

国税局を名乗る訪問が、実際には情報漏洩経路で氏名を入手した第三者によるなりすましである可能性を、参考人自身が完全には排除できない状況にあったこと

実際に嶋崎剛統括官、川口延洋主査、馬見塚武治税理士をよく知る人物から400万の違法な請求事件が関係者に起きており、その事実も熊本国税局に通報していたこと

大阪国税局において、納税者情報259件が警察官を名乗る者の指示によって外部送信された事案(令和8年4月公表)と類似のリスクが、本件参考人にも及び得る状況にあったこと

これらは、当該参考人がドアを閉じたまま身元・目的の確認を求めた行動の合理性を、客観的に基礎づける事情です。

第五 情報漏洩リスク下の自己防衛――刑法上の評価

刑法36条1項の正当防衛は「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為」を罰しないと定めますが、本件のように、訪問者の正当性を確認するためにドアを閉じておくという消極的自衛行為は、そもそも処罰対象となる加害行為ではなく、正当防衛の要件審査以前に、適法行為の枠内に収まります。

より正確に法的評価を行うならば、本件参考人の対応は、

第一に、刑法130条の住居権者として、自宅敷地への立入りを誰に許諾するかを決定する憲法上の人格的自律権の行使であり、

第二に、情報漏洩により自らの氏名が長期間外部流通している状況下で、訪問者の真正性を確認するための合理的注意義務の履行であり、

第三に、民法上の自力救済の限界内における消極的自己防衛として、何ら違法性を帯びない行為です。

それにもかかわらず、東京国税局がドア開放を命令調で求めた事実は、令状を伴わない任意調査の権限範囲を、現場運用において踏み越えたものと評価せざるを得ません。

第六 問題の核心――情報漏洩を起こした組織体が、漏洩を踏まえた配慮なく訪問した

本件で最も看過できないのは、

第一に、馬見塚メモという情報漏洩を起こしたのは、国税局という同一の組織体(熊本国税局および国税庁監督ライン)であり、

第二に、その情報漏洩の影響下で、参考人は「自分の名前が長期間外部に流通している」リスクを抱えていたにもかかわらず、

第三に、東京国税局は、その漏洩状況を考慮せずに、当該参考人を突然訪問し、ドア開放を命令調で求めた

という構造です。

すなわち、自らの組織が情報漏洩を起こしたという事実を踏まえれば、参考人がドアを閉じることの合理性は、訪問前に当然に予測できたはずです。それにもかかわらず、漏洩への配慮なく命令調の対応に及んだという事実は、参考人の安全配慮義務を、行政側の運用都合に従属させたことを意味します。

そして、このような対応の片方で、嫌疑人でも参考人でもない一納税者からの善意の情報提供は「指示」と評価して制止する。この二重基準は、国民協力を必要とする場面では門戸を閉じ、命令的接触を行う場面では権限範囲を踏み越えるという、国税局の現場運用における優先順位の歪みを、外形的に露呈させるものです。

第七 組合からの正式要請

以上を踏まえ、東京国税局査察部査察第21部門の中村英人主査、中嶋徹査察官に対し、当組合は以下の事項について、書面による正式回答を要請します。

第一に、嫌疑人でも参考人でもない一納税者からの情報提供を「指示」と評価して制止した法的根拠と、国税庁が公式に呼びかけている情報提供制度との整合性についての組織的見解。

第二に、馬見塚メモという情報漏洩事案により、当該参考人の氏名が長期間にわたり外部流通している状況であったことを、訪問前にどの程度認識していたか。認識していたのであれば、なぜ参考人の自衛行動を予測した訪問プロトコル(事前連絡、身分証明書の提示プロセス、代理人を通じた事前調整等)を採用しなかったのか。

第三に、馬見塚メモによる情報漏洩を長期間放置しながら、参考人にドア開放を命令調で求めた法的根拠は、国税通則法第74条の2以下のいずれの条項に基づくものか。

第四に、大阪国税局の情報漏洩事案(令和8年4月公表)と本件馬見塚メモ流出事案を比較したとき、参考人保護の観点でどのような運用上の差異を設けているのか。

第五に、「一納税者からの情報提供は制止する」という運用と、「参考人にはドアを開けろと命じる」という運用が同時に発動された本件の二重基準について、組織として整合性ある説明が可能か。

結語――国民協力こそが、税務行政の生命線である

国税庁は、自らのウェブサイトを通じて、国民一般から広く情報提供を呼びかけております。これは、税務行政が国民の協力なしには成立し得ないという根本認識に基づくものです。

それにもかかわらず、現に情報提供を行った一納税者を「指示するな」と制止し、同時に、情報漏洩で長期間個人情報を晒され続けた参考人にはドア開放を命令する。この二重基準が放置されれば、国税庁が呼びかけている情報提供制度そのものが、国民の信頼を失うことになります。

当組合は、本声明をもって、東京国税局および国税庁監督ラインに対し、現場運用の根本的な見直しと、情報提供制度の信頼回復に向けた組織的措置を、強く要請いたします。

グローバルユニオン(国税ユニオン)
組合員一同
Web:https://globalunion-grp.org/mikata/u/kokuzeiunion/

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