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罪刑法定主義の構造的踏み越え――「脱税請負人」「B勘屋」「虚偽出資」は、刑法のどこに書かれているのか

近代刑事法の二大原則のもう一方が、罪刑法定主義(Nullum crimen, nulla poena sine lege)です。この原則は、日本国憲法第31条が「法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めるところに根拠を持ち、法律に明記された構成要件に該当しない行為について、いかなる国家機関も処罰・断罪することができないという、近代法治国家の絶対原則です。

ところが、本件査察調査において用いられた評価語は、いずれも刑法典・国税犯則関連法令のどこにも存在しない造語です。

「脱税請負人」――刑法に存在しません。

「B勘屋」――刑法に存在しません。

「虚偽出資」――会社法上の出資概念にこのような類型はなく、刑法にも存在しません。

「実態のない会社」――税法上の構成要件として明文化されたものではありません。

これらは、いずれも国税局の内部慣用語ないし俗称であり、構成要件として法定されたものではありません。にもかかわらず、本件では、これらの造語的評価が、

対面調査の場で公的職員から発せられ
馬見塚メモという書面に記載され
関係者・参考人に伝達され
結果として、組合員の社会的評価を毀損し

組合員の家族(娘)が自殺未遂に至り、組合員自身が精神疾患を発症する事態を招きました

これは、構成要件法定主義の手続を経ずに、国税局が独自に「罪状」を作り出し、それを社会に流通させたことに等しい構造です。

さらに本件では、貴局が押収した馬見塚メモに記載された「不正の概要」として、以下の三点が示されています。

第一に「グループ会社が多数ある」こと。これは会社法上適法な持株会社体制であり、違法性の構成要件に該当しません。

第二に「決算期の違いを利用して、利益調整して、税金が出ないようにしている」こと。これは法人税法上適法な決算期選択であり、租税回避(Tax Avoidance)と脱税(Tax Evasion)の判例上確立された区別を完全に無視した記述です。

第三に「関係会社間で利益や資金を回して、最終的には香港法人に行っている」こと。これも、独立企業間価格(Arm’s Length Principle)が確保されている限り、移転価格税制上適法な商流設計です。

つまり、馬見塚メモが「不正」と断じている事象は、いずれも現行法上適法な企業活動に過ぎず、罪刑法定主義の観点から構成要件該当性を検証すれば、即座に成立しないことが明らかになる内容ばかりです。

それにもかかわらず、これらが「不正」「脱税請負人」「B勘屋」と評価され、外部流通したという事実は、国税局が、罪刑法定主義という近代法の根幹を、内部慣用語の自由使用によって日常的に侵食していることを示します。

加えて深刻なのは、これらの評価が、質問検査権を一度も行使しないまま下されたという事実です。査察調査開始から約2年が経過した現時点に至るまで、組合員に対する取引実態・故意の有無・役務内容についての具体的質問は、ただの一度も行われておりません。

質問なし、争点固定なし、反証機会の付与なし、構成要件対応の整理なし。これらすべてが欠落した状態で、刑法に存在しない造語的評価のみが先行し、外部流通する。これが、本件査察調査が実態として行ってきたことの全容です。

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