鹿児島地検の溝口修次席検事は「国際的対応」へ――参考人は待っています。逮捕を語る前に、まず質問を。
鹿児島地方検察庁が、実に攻めています。
本件で注目したいのは、鹿児島地検の池田検事、清水検事です。
当メディアが確認している関係資料には、驚くべきタイトルが付されています。
「中野爵喜との共謀による税法違反の件」
さらに、
「正当な理由なく出頭しない場合、逮捕される可能性があります」
との趣旨まで明記されているとされています。
ものすごい迫力です。
任意の事情聴取を求める段階から、既に「逮捕」の二文字まで文書に登場する。
それほどの確信があるのであれば、池田検事、清水検事には、ぜひ最後までその勢いを貫いていただきたい。
ところが――。
関係者によれば、池田検事、清水検事側は、中野爵喜被告に関する他の参考人についても意見聴取を行う旨を伝えていたにもかかわらず、その後、数か月にわたり実質的な聴取が行われていないというのです。
これはどうしたことでしょうか。やる気が急になくなったのでしょうか。
皆さん、待っています。逮捕してもらえる・起訴してもらえると期待している者もいます。
ここまで稚拙な展開しかできない検事の描いたストーリーなど、もはや誰でも簡単に無罪にできるからです。
「逮捕される可能性があります」とまで書いた鹿児島地検が、質問する側になった途端に時間が止まってしまっては困ります。

■池田検事と清水検事にまず確認したい――「税法」という名前の法律はありません
何より興味深いのが、
「税法違反」
という表現です。
一般的な概念として「税法」「租税法」と呼ぶこと自体は当然あります。
しかし、「税法」という題名の単一の法律が存在するわけではありません。
所得税なら所得税法。
法人税なら法人税法。
消費税なら消費税法。
国税通則については国税通則法。
刑事責任を問うのであれば、さらに重要になります。
憲法31条は、法律の定める手続によらなければ刑罰を科されないことを保障しています。
そして憲法84条は租税法律主義を定めています。
つまり税金の世界である以上、
「なんらかの税法に違反していると思う」
では刑事責任を問えません。
どの法律の、
どの条文の、
どの構成要件に、
どの具体的行為が該当するのか。
これを特定することこそ出発点です。
ましてや、その文書で「逮捕される可能性」まで示唆するのであれば、なおさらでしょう。
■そして刑事訴訟法199条――「出頭しない=逮捕」ではない
ここは法律上、極めて重要です。
刑事訴訟法199条は、被疑者を逮捕するためには、原則として裁判官の発する逮捕状を必要とします。
しかも裁判官が令状を発するには、
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」
が必要です。
さらに刑事訴訟規則143条の3は、逮捕状請求を受けた裁判官について、明らかに逮捕の必要がないと認める場合には逮捕状を発してはならないとしています。
したがって、
「呼んだ」
→「来なかった」
→「逮捕」
という三段論法ではありません。
確かに、正当な理由のない出頭拒否や逃亡のおそれなどは逮捕の必要性を判断する一事情となり得ます。
しかし、それ以前に必要なのは犯罪嫌疑です。
「出頭しなかったから犯罪嫌疑が生まれる」のではありません。
犯罪嫌疑について相当な理由が存在し、その上で身柄拘束の必要性が問題となる。
順番を逆にしてはいけません。
だからこそ池田検事、清水検事が作成・発出したとされる文書は興味深いのです。
そこまで逮捕の可能性を具体的に予告できるほど証拠が揃っていたのであれば、ぜひ、その証拠に基づいて質問していただきたい。
参考人に電話してきておいて、逃げている場合ではありません。
■ところが数か月――参考人側が「質問してください」と待つ不思議な事件
普通の刑事ドラマとは逆です。
捜査機関が参考人を追いかける。
参考人が捜査機関から逃げる。
一般に想像するのはこちらでしょう。
ところが本件では、関係者から、
「話を聞くと言われたので待っている」
「資料も説明も用意している」
「それなのに数か月経っても聴取されない」
「逮捕されても予定も空いているし、ネタにもなるから逮捕してほしい」
という声が出ています。
これが事実なら、奇妙です。
池田検事。
清水検事。
皆さん、あなたたちの質問を待っています。
逮捕の可能性まで書面に記載したのであれば、ぜひ質問してください。
捜査に必要だから電話をしてきたはずです。
中野爵喜被告との「共謀」を疑っているのであれば、なおさら本人の説明を聞けばよい。
「共謀」は人間の内心と意思連絡に関わる問題です。
最高裁判例上、共謀共同正犯は明示的な犯罪計画書がなくても成立し得ますが、その代わり、意思連絡、役割、行為への関与その他の間接事実から慎重に認定しなければなりません。
だったら質問すればいい。
誰と、いつ、どこで、何を話したのか。
中野爵喜被告から何を聞いたのか。
誰が会計を処理したのか。
誰が利益を得たのか。
税の処理について誰が何を認識していたのか。
捜査とは、本来そういう作業でしょう。
■中野爵喜被告については既に起訴――鹿児島地検は「共犯者」を公然と事件化
これは空想上の事件ではありません。
鹿児島地検は2026年6月18日、グローバルHRテクノロジーと中野爵喜被告を消費税法違反等で起訴しています。
地検・熊本国税局側の説明として報じられた内容によれば、中野爵喜被告は「共犯者」とともに1億円を超える架空経費を計上し、約250万円の消費税を免れ、約950万円の還付を受けたとされています。
さらに中野爵喜被告は同日、補助金1000万円をめぐる詐欺・詐欺未遂容疑でも再逮捕されています。
そして鹿児島地検は、国外へ移住したとされる共犯者について、外務省へ旅券返納命令を要請するなどして捜査を進めていることまで報道されています。
つまり鹿児島地検自身が、
「共犯者」
を公然と事件の重要人物として位置付けているのです。
だったら、なおさら聞きましょう。
■「逮捕しないと一つも質問すらできない検察」などと笑われてはいけない
日本の刑事司法に対しては長年、「人質司法」という厳しい批判があります。
被疑者を身体拘束し、その環境下で連日の取調べを行う日本型捜査への批判です。
しかし本件で、もし、
任意で話すと言っている人物には質問しない。
資料を出すと言っている人物にも質問しない。
その一方で、文書では「出頭しなければ逮捕される可能性」と強く迫る。
という状態になっているのであれば、皮肉な構図になります。
「検察は逮捕しないと質問もできないのか」
そんな揶揄を受けるような捜査機関であってはなりません。
逮捕は取調べを容易にするための道具ではありません。
身柄拘束を必要とする法定の要件が満たされた場合に行われる強制処分です。
任意で事情を説明する人物がいるなら、まず聞けばよい。
■池田検事、清水検事には「逮捕劇」より先にやることがある
刑事訴訟法198条1項は、検察官、検察事務官または司法警察職員が、捜査のため必要があるときは被疑者の出頭を求め、取り調べることができるとしています。
そして逮捕・勾留されていない被疑者は、原則として出頭を拒み、出頭後も退去することができます。
つまり日本の刑事訴訟法は、
任意捜査
と
強制捜査
を明確に区別しています。
捜査機関がまずやるべきなのは、必要な証拠を集めることです。
参考人が話すと言うなら聞く。
資料を出すと言うなら見る。
反論があるなら検討する。
有罪方向の証拠だけではなく、刑事訴訟法上の検察官として適正な証拠評価をする。
その積み重ねの先に、必要なら強制捜査があります。
順番が逆になってはいけません。
皆、池田検事、清水検事からの日程連絡を楽しみにして待っています。
■さらに問題なのが「馬見塚メモ」――なぜ逮捕前の筋書きが外へ出るのか
そしてまた、あの問題へ戻ってきます。
いわゆる「馬見塚メモ」です。

国税査察部に長期間勤務した経歴を公表している馬見塚武治税理士の作成とされる資料には、
「検察庁には、既に連絡、相談しており、検察庁はやる気である」
「鹿児島地検、福岡高検」
など、捜査の方向性をうかがわせる記載があるとされています。
さらに中野爵喜被告の逮捕前から、逮捕や事件化を示唆する情報が相当範囲で流通していたとの指摘も出ています。
この問題については既に当組合から鹿児島地検、熊本国税局等に対する公開質問まで行われています。
ここで重要なのは、
「誰かが漏らしたに違いない」
と決めつけることではありません。
逆です。
本当に捜査情報だったのか。
誰が作成したのか。
なぜ外部に流通したのか。
捜査機関から出たものではないなら、その事実を確認したのか。
これを調べることです。
■検察官には刑法195条まで用意されている――強大な権限だからこその特別規制
検察官は普通の行政職員ではありません。
人を逮捕し、勾留を請求し、起訴し、国家刑罰権を発動させる入口を握っています。
だから刑法は、検察官等による職権濫用的な行為について特別な規定まで置いています。
刑法195条の特別公務員暴行陵虐罪です。
もちろん、強い出頭要求を書いたことや情報が外部に流通したことだけで同罪が成立するわけではありません。
重要なのは、この規定が存在する意味です。
国家は、捜査官自身が権力を濫用する危険を法律上予定している。
だからこそ検察官には、一般人以上に慎重な権限行使が要求されます。
「逮捕」という言葉は、それだけ重いのです。
■そして溝口修次席検事――国際協力まで掲げた以上、もう鹿児島だけの話ではない
2026年4月1日付で鹿児島地方検察庁次席検事に就任したのが溝口修次席検事です。
鹿児島地検は、中野爵喜被告の共犯者が国外へ移住しているとして、外務省への旅券返納命令要請まで行っていることをメディアに明らかにしています。
つまり捜査は、自ら国境を越えるレベルまで引き上げられました。
それなら期待しましょう。
溝口修次席検事。
池田検事。
清水検事。
必ず、有言実行してください。
国際協力まで持ち出す事件であれば、海外にいる人物の供述をどう取得するかも捜査能力の一部です。
刑事共助。
外交ルート。
オンラインを含めた任意聴取。
書面による回答。
代理人を介した資料提出。
現代の国際捜査には様々な選択肢があります。
「逮捕できないから何も聞けない」では、国際的捜査を掲げた意味がありません。
もう皆さんは、鼻で笑われるだけの存在になってしまいました。
■北村厚熊本国税局長、岡博史主査、太田啓介氏をめぐる「NHK情報提供」疑惑も説明を
さらに関係者からは、北村厚熊本国税局長の指示の下、岡博史主査と太田啓介氏がNHKへの情報提供に積極的だったのではないか、との疑義まで示されています。
ここも明らかにすればよいのです。
NHKを含む報道機関に対して、
誰が、
いつ、
どの情報を、
どの法的・行政的根拠に基づいて提供したのか。
捜査対象者についてどこまで説明したのか。
もし一切そのような事実がないなら、そう回答すればよい。
疑惑に対する最も強い反論は、沈黙ではなく事実です。
■池田検事、清水検事――参考人席は空いています
本稿で伝えたいことは、検察批判そのものではありません。
むしろ逆です。
もっと本気で捜査してください。
池田検事。
清水検事。
「中野爵喜との共謀による税法違反の件」とまで書いた。
「正当な理由なく出頭しない場合、逮捕される可能性があります」とまで踏み込んだ。
そこまで書いたのであれば、途中で止まってはいけません。
意見聴取すると伝えた参考人がいる。
説明すると言っている関係者がいる。
提出すると言っている資料がある。
だったら聞いてください。
逮捕を予告する勇気があるなら、反論を聞く勇気もあるはずです。
そして溝口修次席検事が国際的な対応まで視野に入れた捜査を進めるのであれば、その捜査能力を全国に見せていただきたい。
中野爵喜被告について鹿児島地検が起訴した事件は、既に報道上、「共犯者」の存在を前提として進んでいます。
ならば、最後まで調べる。
都合の良い人だけではなく、都合の悪い説明をする人にも聞く。
有罪方向だけではなく、無罪方向の事実も検証する。
そして「共謀」があるというなら、証拠で示す。
それが捜査です。
人質司法劇場より、真向勝負する鹿児島地検が見たい。
参考人は待っています。
資料も待っています。
国民も見ています。
あとは池田検事、清水検事、そして溝口修次席検事が、あの書面に込めた勢いを実際の捜査で見せる番です。
「逮捕できる」と書いた鹿児島地検。
次に国民が読みたいのは、逮捕を匂わせる文書ではありません。
なぜ犯罪が成立するのかを、すべての共犯者から聞いた事実を公判で示し、条文と証拠で説明する鹿児島地検です。
そして、いつの間にか世界最弱の組織とまで評価され、中野氏から駆逐すると言われていた国税局は、電話で逃げ回るやり取りが中野爵喜氏から漏洩され、中野爵喜氏が占有していた証拠物を失くしたという情報まで飛び交っています。
こんな惨めな情けない醜態を晒しながらも、あくまでも脱税事件の主役は国税局のはずです。
皆で、「逮捕しなくても一つくらいは質問できる検察」、「押収した以上、物を失くさない国税」に期待しましょう。




