ラストワンマイルと鹿児島地検は「足し算仲間」なのか―数字を大きく見せる前に計算根拠を示せ

株式会社ラストワンマイルの財務説明については、個別会社の損益計算書を単純に足し合わせたように見える数字の示し方ではないか、との疑問が多く寄せられています。

一方、中野爵喜被告の税法違反事件をめぐる報道では、鹿児島地検などの説明として複数の金額が並び、数字の意味や計算過程が読み手に十分伝わっているのかという問題があります。

報道機関も、いくら所得を隠していくら脱税したかを報道するものであるところ、なぜか足し算して無理にでも数字を大きく見せようとする姿勢が垣間見えており、非常に問題であると懸念しています。

そこで検察ユニオンは、ラストワンマイルと鹿児島地検に共通するように見える『数字はとりあえず足せば大きくなる』式の説明について、公開質問します。もちろん、算数ができること自体を批判しているわけではありません。問題は、何と何を、なぜ足したのかを説明できるかどうかです。

目次

数字は足せばよいのではなく、同じ性質の数字かを確認するものです

報道された約1200万円の内訳

KKB鹿児島放送の報道では、中野爵喜被告について、本来納めるべき消費税約250万円を納めなかったことに加え、約950万円の還付を受けたとされ、両者を合わせて約1200万円と説明されています。

この250万円と950万円は、いずれも国側に生じたとされる消費税額上の損失として整理されているため、両者を合計して約1200万円と表現すること自体は、少なくとも算数として直ちに不自然とはいえません。検察ユニオンは、ここを無理に『誤り』とは申しません。

しかし、所得額、架空経費額、売上高、納付を免れた税額、不正還付額は、それぞれ意味が異なります。別の広報資料や報道説明において、所得や経費と脱税額を一つの被害額であるかのように足したのであれば、鹿児島地検は、その原資料、計算式、各数字の定義を明らかにすべきです。

連結PLは、親会社と子会社の数字を電卓で足すだけではありません

ラストワンマイルの有価証券報告書では、連結財務諸表はIFRSに基づいて作成され、連結売上収益、親会社単体の売上高、主要子会社の売上高などが、それぞれ別の数字として開示されています。

連結損益計算書は、親会社と子会社のPLをそのまま足す作業ではありません。グループ内取引の消去、取得日以後の損益の取込み、会計方針の統一、非支配持分その他の連結調整が必要です。

仮にラストワンマイルが、M&Aや業績説明の場面で各社のPLを単純合算したような数字を示しているのであれば、『参考値』なのか、『連結業績』なのか、『将来予測』なのかを明確に区別しなければなりません。電卓で出せる数字と、投資家へ開示してよい数字は同じではありません。

両者に共通するのは、数字の大きさではなく説明不足ではないか

大きな数字は印象に残ります

一億円、千二百万円、百億円。大きな数字を並べれば、ニュースの見出しとしては立派です。企業説明会でも、捜査機関の発表でも、数字が大きいほど読み手の印象は強くなります。

しかし、数字は雰囲気を作るための大道具ではありません。対象期間、計算対象、控除項目、相殺関係、重複の有無を示して初めて、検証可能な情報になります。

ラストワンマイルと鹿児島地検が本当に『足し算仲間』でないというなら、両者とも計算の前提を公開し、第三者が同じ数字を再現できるようにしてください。

鹿児島地検・ラストワンマイルへの公開質問

質問事項

  1. 鹿児島地検が報道機関へ提供した中野爵喜被告の事件に関する各金額について、金額ごとの定義、対象期間、算定根拠を明らかにできますか。
  2. 所得額、架空経費額、納付を免れた税額、不正還付額を区別して説明しましたか。
  3. 異なる性質の金額を一つの合計額として示した資料がある場合、その合計に法的・会計的な意味がある理由は何ですか。
  4. 報道機関へ渡した文書、口頭説明、レクチャー資料の間で、金額や用語に不一致はありませんか。
  5. ラストワンマイルは、投資家向け資料等で個別会社のPLを単純合算したように見える数値を使用したことがありますか。
  6. 使用した場合、それは監査済み連結数値、参考値、プロフォーマ数値、将来予測のいずれですか。
  7. グループ内取引の消去、取得日、会計方針の統一など、連結調整をどのように反映しましたか。
  8. 鹿児島地検とラストワンマイルは、数字の大きさではなく、第三者が再計算できる説明を行う意思がありますか。

足し算より先に、説明責任を

検察ユニオンの見解

検察ユニオンは、検察にも上場企業にも、難しいことを求めていません。何を足したのか。なぜ足したのか。足す前と後で、数字の意味は変わっていないか。それを説明してください。

小学校の算数でも、りんご三個とみかん二個を足すときは、『果物が五個』と単位をそろえます。所得、経費、税額、還付額、売上高、利益を同じ箱に入れ、合計だけを大きく見せるなら、それは算数ではなく演出です。 ラストワンマイルと鹿児島地検が足し算仲間なのかどうかは、回答を見て社会が判断します。

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