毎週出頭した金本重徳氏に質問できず、逮捕後に自白を迫る検事を私たちは嫌いです
横浜地方検察庁の山口検事は、土曜日に金本重徳氏のもとを訪れ、「私のことは嫌いですか」と尋ねたとされています。
金本重徳氏は、「仕事上は仕方がないが、人としては好きです」と答えたそうです。身柄を拘束され、自らの処分を左右する検察官を前にしながら、その人物の人格と職務を分け、配慮のある回答をしたことになります。
それでは、検察ユニオンとしても同じ質問へ回答します。
私たちは、本件で示されている検事の職務姿勢が嫌いです。
山口検事個人の私生活や人格について述べているのではありません。金本重徳氏が逮捕される前から毎週のように検察の呼出しへ応じ、誠実に横浜地検まで出向いていたにもかかわらず、必要な事実確認を行わず、どの行為がどの法令に違反するのかすら明確にしないまま逮捕し、その後になって捜査側の筋書きに沿う供述を迫る仕事の進め方を、当組合の組合員は全員嫌っています。
「嫌いです」は、感情だけで申し上げているのではありません
検察ユニオンが把握した情報によれば、金本重徳氏は逮捕前、横浜地検からの呼出しを無視していたわけではありません。毎週のように検察の求めへ応じ、自ら横浜地検へ出向いていたとされています。
任意の状態で本人から事情を聴く機会は、繰り返し存在していたことになります。
ところが横浜地検は、その期間に、本件の中心となる法的な問いを金本重徳氏へ十分に示さなかったとされています。
金本重徳氏のどの行為が、どの法律の、どの構成要件に該当するのか。どの契約を仮装と考えているのか。どの行政回答が虚偽であると認識していたと判断するのか。株式会社Nから提供を受けたコンサルティングのどの部分が存在しないと考えているのか。誰と、いつ、どのような犯罪を共謀したとみているのか。
これらを具体的に尋ね、本人の回答を契約、送金、株式、行政照会、役務提供資料その他の証拠と照合することが、捜査ではないのでしょうか。
それを行わず、逮捕して身柄を拘束した後になって、「悪いと思わなかったか」「本当は投資ではないと分かっていたのではないか」「元本が戻ると思っていたのではないか」と、捜査側が期待する結論へ向けて同じ質問を繰り返す。
この手法を嫌うことに、感情以外の理由がないとは言わせません。
逮捕前に質問できなかった検事が、逮捕後だけ強くなる不思議
金本重徳氏は、逮捕しなければ連絡が取れない人物だったのでしょうか。
毎週の呼出しへ応じていたという情報が正しければ、横浜地検は、逮捕前にも必要な質問を行い、資料の提出を求め、説明の矛盾を確認することができました。
それにもかかわらず、任意の段階では法的な問題を具体的に示さず、身体拘束を行った後にだけ追及を強めたのであれば、横浜地検が必要としていたのは、質問へ答えてもらう機会ではなかったのではないでしょうか。
自由に帰宅できる状態では得られない供述を、帰宅できない状態にしてから得ようとしたのではないか。その疑いが生じます。
逮捕と勾留は、質問能力の不足を補うための道具ではありません。
逮捕前に聞くべきことを聞けなかった検事が、逮捕後になって突然、同じ結論だけを反復するのであれば、それは捜査能力が高まったのではありません。相手が帰れなくなっただけです。
どの行為が、どの法令に違反するのですか
刑事事件において、本来問われるべきことは単純です。
どの人物が、いつ、どこで、何を行い、その行為がどの法令のどの構成要件に該当するのか。そして、その事実をどの証拠によって立証するのかです。
ところが、本件で金本重徳氏へ行われているとされる質問は、「悪いと思ったか」「元本が戻ると思っていたか」「投資という認識があったか」といった、印象や現在の評価を求めるものに偏っています。
「悪いと思ったか」という質問は、法律上の故意を確認する質問ではありません。
金額が大きいことへの違和感、取引後の後悔、現在の道徳的評価と、犯罪成立に必要となる具体的事実の認識は区別されなければなりません。
横浜地検が脱税の故意又は共謀を問題としているのであれば、少なくとも次の事項を特定すべきです。
- 金本重徳氏が、どの具体的事実を虚偽であると認識していたのか。
- どの行政回答が誤っていると知っていたのか。
- どの契約又は株式取得が実体を欠くと認識していたのか。
- 株式会社Nから提供を受けたとされるどのコンサルティングが存在しないと知っていたのか。
- 元本の返還について、誰と、いつ、どのような法的合意をしたのか。
- 誰と、どの犯罪を、どのような役割分担で共謀したのか。
これを示さず、「悪いと思いますか」と繰り返すだけなら、法律家による取調べではありません。
検察官の感想へ同意するまで続けられる、答えの決まったアンケートです。
逮捕後の取調べが「単細胞型」になっていませんか
捜査には、複数の仮説が必要です。
行政照会が真正であり、投資家が適法と信じていた可能性。中野爵喜氏が行政回答を誇張又は偽っていた可能性。現実に投資及びコンサルティングが存在した可能性。投資後の資金移動に別の問題があった可能性。投資家自身も虚偽を認識していた可能性。
これらを証拠によって比較し、最も合理的な事実関係を選ぶことが捜査です。
しかし、最初から「投資ではない」「コンサルティングはない」「元本保証だった」「金本重徳氏又は標的人物が悪い」という一つの結論しか持たず、金本重徳氏がその結論を認めるまで質問を繰り返しているのであれば、それは多角的な捜査ではありません。
刺激に対して、毎回同じ反応しか返さない単細胞型の取調べです。
金本重徳氏が異なる説明をすれば、その説明を検証するのではなく、同じ質問をもう一度する。客観的証拠が捜査側の見立てと矛盾すれば、見立てを修正するのではなく、証拠を出した人物を新たな犯人役にする。
このような捜査手法を、当組合が高く評価する理由はありません。
金本重徳氏が黙秘すると、なぜ追及が減ったのでしょうか
検察ユニオンに寄せられた情報では、金本重徳氏が黙秘へ転じた後、検察からの強い追及は大きく減り、本人の精神的負担も軽くなったとされています。
黙秘後に質問が減ったことだけで、それ以前の取調べが違法だったと断定することはできません。回答を得られないことが明確になり、質問の回数を減らした可能性もあります。
しかし、黙秘する前には、検察の筋書きに沿う回答を求めて追及が続き、黙秘すると実質的な取調べが止まったのであれば、それ以前に求められていたものが何だったのかは考える必要があります。
客観的証拠を確認するための質問なら、黙秘後も、行政担当者、資料作成者、関係者、電子データ、送金記録その他の証拠を調べることができます。
金本重徳氏の口から特定の言葉を得ることが目的だったなら、黙秘された瞬間に行うことがなくなります。
黙秘によって取調べが止まったという経過は、横浜地検が証拠より供述へ過度に依存していた可能性を示しています。
そして土曜日に「私のこと嫌いですか」
実効的な質問が減った後、山口検事は土曜日に金本重徳氏のもとを訪れ、「雑談しに来た」と述べたとされています。
そこで山口検事が尋ねたとされるのは、検事の取調べをどう思ったか、検察にどのようなイメージを持っているか、外のことが気にならないか、今後をどう考えているか、警察を敵だと思うか、そして「私のことは嫌いですか」という内容でした。
どの行為がどの法令に違反するかを説明できない。行政回答をした担当者への事情聴取も不十分。中野爵喜氏の電子データ及び海外での行動記録の検証も見えない。
しかし、被疑者が自分を好きか嫌いかだけは確認する。
横浜地検の優先順位は、どうなっているのでしょうか。
検察官が確認すべきなのは、被疑者からの好感度ではありません。犯罪を裏付ける客観的証拠です。
金本重徳氏の答えは優しかったですが、当組合の答えは違います
金本重徳氏は、山口検事から「私のことは嫌いですか」と尋ねられ、「仕事上は仕方がないが、人としては好きです」と答えたとされています。
極めて穏当で、大人の回答です。
しかし、検察ユニオンは、同じように優しく回答する必要を感じません。
当組合の組合員は、本件で示されている検事の仕事ぶりを全員嫌っています。
理由は明確です。
毎週の呼出しに応じていた人物へ、逮捕前に必要な質問をしなかったからです。どの行為がどの法令に違反するのかを具体的に示していないからです。行政照会、役務提供、契約、株式、送金及び中野爵喜氏の説明を、客観的証拠によって十分に検証した形跡が見えないからです。
そして、逮捕して帰宅できない状態にした後になって、捜査側の筋書きに沿う自白を迫っている疑いがあるからです。
さらに、期待する供述を得られず黙秘されると、今度は土曜日に雑談へ訪れ、「私のことは嫌いですか」と被疑者へ感情の確認を求めたからです。
これは人格攻撃ではありません。
検事として行われた職務への、当組合の率直な評価です。
検察官の人格ではなく、仕事の内容を批判しています
検察ユニオンは、山口検事が家族や友人に対してどのような人物であるかを知りません。日常生活で親切な人物である可能性もあります。
しかし、検察官は、私人として好かれるために取調室へ来るのではありません。
国家権力を行使し、人の自由、名誉、財産及び人生へ重大な影響を与える職務を行うために来ます。
だからこそ、その職務については、一般の会社員以上に厳しい批判を受けなければなりません。
「自分はフラットに接したつもり」「寄り添ったつもり」「不利にしてやろうとは思わなかった」という主観的な自己評価では足りません。
取調べの全録音録画、質問内容、提示資料、供述調書、行政照会記録、中野爵喜氏に有利・不利な証拠の取扱いを確認し、客観的に評価されるべきです。
「自白しないなら逮捕する」ではなく、証拠で説明してください
金本重徳氏が無罪であると、本記事だけで断定するものではありません。横浜地検が、今後、十分な客観的証拠によって犯罪事実を立証する可能性もあります。
だからこそ、その証拠を示し、論理的に捜査を進めるべきです。
任意で出頭していた人物を逮捕し、逮捕後になって評価的な質問を繰り返し、黙秘すると追及が減る。この経過だけでは、検察が証拠を積み上げているのではなく、自白を得るために身体拘束を利用したのではないかという疑いを払拭できません。
検察官の仕事は、被疑者が折れるまで質問することではありません。
被疑者が黙秘しても成立するほどの客観的証拠を集めることです。
横浜地方検察庁への公開質問
- 金本重徳氏が逮捕前、横浜地検の呼出しへ毎週のように応じていたことは事実ですか。
- 任意の事情聴取の段階で、金本重徳氏へどの具体的な法令及び構成要件を示しましたか。
- 逮捕前に、どの契約、行政回答、役務提供又は資金移動を問題としているのか、具体的に質問しましたか。
- 任意の事情聴取で確認できなかったため、逮捕後でなければ行えなかった質問は何ですか。
- 金本重徳氏を逮捕しなければ、証拠隠滅又は逃亡を防止できないと判断した具体的事情は何ですか。
- 逮捕後の取調べで、「悪いと思ったか」「元本が戻ると思っていたか」などの評価的な質問を、何回行いましたか。
- 金本重徳氏へ、どの法令のどの要件に関する故意を確認しているのかを説明しましたか。
- 金本重徳氏が黙秘へ転じた後、取調べの頻度又は追及が大幅に減ったことは事実ですか。
- 黙秘によって追及が減ったのであれば、それ以前の取調べで必要としていたのは、客観的事実ではなく供述だったのではありませんか。
- 山口検事が土曜日に「雑談しに来た」と述べ、「私のことは嫌いですか」と質問したことは事実ですか。
- 当該質問には、どのような捜査上又は処遇上の必要性がありましたか。
- 金本重徳氏の全取調べについて、録音録画、質問事項、提示資料及び休憩状況を保全していますか。
- 事件担当部署から独立した立場による取調べの検証を受け入れますか。
好きになってほしいなら、まともな捜査をしてください
山口検事が、自分を嫌わないでほしいと考えているのであれば、被疑者へ好感度を尋ねる必要はありません。
逮捕前から呼出しへ応じていた人物へ、必要な質問を行う。どの行為がどの法令に違反するのかを説明する。検察の見立てと矛盾する証拠も調べる。中野爵喜氏に有利な情報だけでなく、同氏に不利な情報も同じ熱量で検証する。
金本重徳氏の現在の感想ではなく、投資当時の契約、送金、株式、行政回答及び役務提供記録を確認する。被疑者が黙秘しても立証できる客観的証拠を集める。
それができれば、少なくとも「論理のない検事」と批判されることはありません。
反対に、任意で来ていた人物へ必要な質問をせず、逮捕してから同じ結論だけを繰り返し、黙秘されると雑談へ切り替え、「私のことは嫌いですか」と尋ねるのであれば、検察ユニオンの答えは変わりません。
はい。検事としてのその仕事ぶりを、私たちは嫌いです。
好きか嫌いかを聞く前に、どの行為がどの法令に違反するのか、証拠と論理で説明してください。



