法人の売上げを代表者個人の財布へワープさせるな
金本重徳氏の事件をめぐり、関係者間では、ある法人へ支払われた金銭について、「最終的には特定個人へ流れた」とする趣旨の評価が、横浜地方検察庁側から示されているとの情報があります。
検察ユニオンは、その発言の正確な内容、発言相手、文脈を確定したものではありません。
しかし、法人名義の口座へ入金された金銭を、代表者個人へ流れた金銭と表現するのであれば、その間にある法律関係と資金移動を具体的に示す必要があります。
会社の口座は、代表取締役の大きな財布ではありません。
法人に入った金銭と個人に入った金銭は同じではない
法人名義の契約に基づき、法人名義の口座へ入金され、法人の売上げとして会計処理された金銭は、原則として法人の財産です。
代表者が株式の大半を保有していても、会社を実質的に支配していても、それだけで法人財産が代表者個人の財産になるわけではありません。
法人への入金を個人への還流と評価するためには、少なくとも二段階目の資金移動が必要です。
法人から個人口座への送金、役員報酬、配当、役員貸付金、仮払金、個人的費消、架空経費、法人カードの私的利用などです。
この二段階目を特定せず、「代表者の会社に入ったから代表者へ流れた」と表現することは、資金分析ではありません。
金本重徳氏事件で必要なのは「矢印」ではなく仕訳と口座記録
資金図は、複雑な取引の全体像を理解する上で便利です。
一方、資金図の矢印には、売上げ、貸付け、返済、出資、配当、報酬、立替精算など、異なる法律関係が同じ形で描かれます。
A社からB社へ1億円の矢印がある。
それだけでは、その1億円が誰の所得になったかは分かりません。
契約書、請求書、総勘定元帳、銀行口座、取締役会決議、税務申告を照合し、取引ごとに性質を確定する必要があります。
矢印は捜査の入口にはなりますが、立証の完成品ではありません。
「全て特定個人へ流れた」と言うなら二段階目を示してください
仮に横浜地検が、法人へ支払われた売上げが最終的に特定個人へ帰属したと認定しているのであれば、次の事項を明らかにできるはずです。
- 最初に入金された法人名義口座
- 入金日と金額
- 入金の原因となる契約
- 法人側の会計処理
- 法人から個人へ移った日付と金額
- 移動先の個人口座または具体的な個人的費消
- 役員報酬、配当、貸付け、仮払金その他の法的名目
- 所得税・法人税上の帰属判断
この表を作れないのであれば、「全て個人へ流れた」という表現は、証拠に基づく認定ではなく、印象を強くするための言い換えにすぎません。
上場会社の経営者だから法人財産も個人財産になるのか
法人と個人の区別は、会社規模が大きいほど重要になります。
上場会社やその関係会社では、会社財産は株主、債権者、従業員、取引先との関係を持ちます。代表取締役個人が自由に処分できる財産ではありません。
代表者が会社を支配しているという理由だけで法人財産を個人財産と扱えば、会社の債権者、少数株主、他の役員の権利まで無視することになります。
法人格の濫用や個人的費消があるなら、その具体的事実を示すべきです。
代表者であるという肩書だけでは、会社財産を個人へ帰属させる証拠になりません。
法人を無視すると、金本重徳氏の故意認定まで歪む
法人への正当な売上入金を、特定個人への不正還流と誤認すれば、金本重徳氏が理解していた取引構造の評価も変わります。
金本重徳氏が、法人間の業務委託、貸付け、出資、事業提携として説明を受けていたのか。
それとも、最初から個人へ資金を移す計画と説明されていたのか。
この二つは、故意を判断する上で全く異なります。
後から法人格を消し、「結局、個人へ行った」とまとめるだけでは、金本重徳氏が投資時点で何を認識していたかを立証できません。
សំណួរបើកចំហទៅកាន់ការិយាល័យព្រះរាជអាជ្ញាសាធារណៈស្រុកយូកូហាម៉ា
- 法人へ入金された金銭を、特定個人へ流れたと評価していますか。
- 評価している場合、対象となる法人、取引、入金日、金額を特定できますか。
- 法人から個人への二段階目の資金移動を、口座単位で特定していますか。
- 役員報酬、配当、貸付け、仮払金、個人的費消のどれと評価していますか。
- 法人名義の契約と役務提供を確認しましたか。
- 法人側の総勘定元帳、仕訳、法人税申告書を確認しましたか。
- 個人所得と評価する具体的な税法上の根拠を示せますか。
- 法人から個人への移動が存在しない取引まで、一括して個人還流と呼んでいませんか。
- 資金図の矢印ごとに、法律関係を記載した取引一覧を作成していますか。
- その一覧を公判で提示しますか。
សំណួរបើកចំហទៅកាន់ការិយាល័យពន្ធដារតំបន់តូក្យូ
- 法人所得と個人所得の帰属を、どの資料と基準で区別しましたか。
- 法人への入金を代表者個人の所得と認定した取引がありますか。
- ある場合、法人から個人への具体的な移転を特定していますか。
- 法人税と所得税の二重評価が生じていないか確認しましたか。
- 契約と役務が実在する法人売上げを、不正還流と評価した取引がありますか。
- 横浜地検へ資金図だけでなく、取引単位の仕訳・口座資料を引き継ぎましたか。
お金は、代表者の肩書を見て自動的に個人口座へ移動しません
検察ユニオンは、法人を使えばどのような資金移動も正当化できると主張しているのではありません。
法人を隠れみのとして個人が資金を取得したなら、具体的な送金と費消を立証してください。
反対に、法人名義の契約、役務、会計処理が存在するなら、法人財産として扱ってください。
会社に入った金銭を、説明なしに代表者個人の財布へワープさせることはできません。



