2026年7月、国税庁の人事異動に伴い、本件に関与したとされる熊本国税局の幹部・担当者にも異動があったとの情報が公開されています。
本件当時の北村厚熊本国税局長、嶋崎剛統括国税査察官、川口延洋主査らが前職となったとしても、それで本件の疑問まで前任者用の段ボールへ詰めて倉庫へ送れるわけではありません。
国税当局が鹿児島地検へ事件を引き継ぎ、海外関係者、共犯関係、旅券に関する措置まで視野に入れているというのであれば、担当者の異動を区切りにせず、ラストワンマイルおよび渡辺誠氏を含む資金の流れを最後まで解明すべきです。
人事異動は、捜査終了通知ではありません
公務員は替わっても、記録と責任は組織に残ります
国税局長、統括官、主査が異動すること自体は通常の人事です。しかし、担当者が替わるたびに調査の問題意識、証拠の評価、関係者への約束まで消えるのであれば、国税組織は毎年夏に記憶を初期化することになります。
査察で押収した資料、作成した資金還流図、関係者聴取、検察への引継書、端末解析の結果は、個人の手帳ではなく国の記録です。異動後も、後任者と検察へ正確に承継されなければなりません。
北村厚前局長、嶋崎剛前統括官、川口延洋前主査らが本件に関与したのであれば、異動後も必要に応じて経緯説明、証言、記録確認に協力するのが当然です。前任者になった瞬間に、見たものまで見なかったことにはなりません。
海外案件と公訴時効――『永遠』ではなく、正確な法律で追い続けてください
国外滞在による時効停止
刑事訴訟法255条は、犯人が国外にいる場合、または逃げ隠れて有効な起訴状謄本の送達等ができない場合、その期間、公訴時効を停止する旨を定めています。
ただし、海外にいる関係者が一人いるだけで、国内のすべての関係者について自動的に時効が止まるわけではありません。国外滞在による停止は、原則として、その国外にいる犯人本人について問題となります。
また、刑事訴訟法254条2項は、共犯の一人に対して公訴が提起された場合、他の共犯者についても、その裁判が確定するまで時効が停止することを定めています。
したがって、『海外案件だから永遠に時効が来ない』と雑に言うのではなく、誰について、どの条文により、いつからいつまで停止しているのかを整理し、法の許す期間、徹底して捜査を継続すべきです。
旅券に関する措置まで動かしたなら、なおさら全体像を調べるべきです
海外関係者について旅券返納命令その他の措置が検討または実施されたというのであれば、捜査機関は、所在、逃亡経路、資金提供者、連絡役、帰国や逮捕に至る経緯を一体として検証すべきです。
逃亡した人物だけを捕まえて終わるのではなく、誰が逃亡を可能にし、誰が費用を負担し、誰が捜査情報を知り、誰が最終的に利益を得たのかまで調べなければ、海外逃亡事件の捜査とはいえません。
馬見塚メモに渡辺誠氏とラストワンマイルを書いた責任
書いたなら調べる。調べないなら、なぜ書いたのか説明する
既に情報漏洩され、相当数に広がっているとされる『馬見塚メモ』には、ラストワンマイルおよび渡辺誠氏の名が記載され、複雑な資金の流れや、違法性・逮捕可能性を示唆する表現が含まれているとの指摘があります。
この文書が熊本国税局関係者により作成され、検察との協議に用いられた資料であるなら、そこに記載した対象をどこまで調べたのか、調査の結果何が判明したのかが問われます。
渡辺氏の名を最上流に置くような資金図を作成しながら、中野爵喜被告の逮捕だけで満足し、ラストワンマイル側の検証を曖昧にするのであれば、メモは捜査資料ではなく、誰かを狙い、誰かを外すための演出資料だったのかと疑われます。
他方、メモの内容が誤りであったなら、作成経緯と訂正を明らかにすべきです。いずれにしても、異動で答えが消える問題ではありません。
押収物の返還差も、後任者へ引き継がれるべき論点です
多数の法人・個人のPC、スマートフォン、会計資料等が長期間返還されていない一方、渡辺誠氏の端末だけが早期に返却されたとの関係者申告があります。
この情報が事実なら、返還判断の基準、データ保全の有無、決裁者、他の押収物との違いを検証する必要があります。
担当者が異動したから返還経緯が分からない、では済みません。返還は公権力による証拠管理の一部であり、誰が異動しても記録が残っていなければならないからです。
熊本国税局・鹿児島地検・福岡高検への公開質問
質問事項
- 本件当時の北村厚熊本国税局長、嶋崎剛統括国税査察官、川口延洋主査らから、後任者へどのような引継ぎが行われましたか。
- 引継書には、ラストワンマイル、渡辺誠氏、中野爵喜被告、海外関係者、押収物返還、捜査情報漏洩疑義が含まれていますか。
- 馬見塚メモと呼ばれる資料は、熊本国税局または検察の正式・準正式な検討資料ですか。
- 同メモに渡辺誠氏、ラストワンマイルおよび関係会社が記載された理由は何ですか。
- 同メモ記載の資金の流れについて、口座、会計帳簿、端末、契約書、関係者供述をどこまで確認しましたか。
- 渡辺誠氏またはラストワンマイル関係者について、刑事責任を否定する判断をしたのであれば、その判断時期と客観的根拠は何ですか。
- 判断をしていないのであれば、現在も捜査・調査対象ですか。
- 海外にいるとされた関係者について、刑事訴訟法255条による公訴時効停止の対象期間を整理していますか。
- 共犯の一人に対する起訴により、刑事訴訟法254条2項が他の共犯者へ及ぶ可能性を検討していますか。
- 旅券返納命令その他の海外逃亡防止措置が検討・実施された場合、その対象と根拠を捜査記録上明確にしていますか。
- 渡辺誠氏の押収端末が早期返却されたとの情報は事実ですか。事実なら、返還理由、決裁者、データ保全状況は後任者へ引き継がれていますか。
- 前任者らを、必要に応じて参考人または引継ぎ説明者として聴取・確認する予定はありますか。
- 人事異動後も、ラストワンマイルおよび渡辺誠氏を含む資金の流れを継続して調査する意思がありますか。
異動したのは人です。真実ではありません
検察ユニオンの要求
検察ユニオンは、前任者を個人的に追い回せと言っているのではありません。前任者が扱った公的記録と判断を、後任者が責任を持って引き継ぎ、必要なら前任者にも説明を求めよ、と言っています。
国税が検察へパスしたなら、鹿児島地検と福岡高検は最後まで受け取ってください。途中でボールを置き、担当者だけベンチへ戻ることは許されません。
馬見塚メモにラストワンマイルと渡辺誠氏を書いたなら、最後まで調べてください。誤りなら訂正してください。正しいなら、異動に関係なく真実へ到達してください。
異動したのは人です。証拠でも、責任でも、真実でもありません。

