【国税局最弱列伝②】外務省まで動かして旅券返納――それでも国外滞在を止められない

国内では強制調査、国外では無力? 二年間質問せず、査察官が滅多打ちにされる録音まで中野爵喜氏に拡散された査察事件が「国際捜査」に耐えられるのか

国税局査察部は国内では強い。

令状を取る。

一斉に入る。

パソコンを押さえる。

スマートフォンを押さえる。

帳簿を押さえる。

そして最後は検察へ告発する。

国内では、非常に強力な組織です。

しかし、国境を一つ越えた瞬間、その強さがどこまで残るのでしょうか。

今回の事件は、その実験になっています。

目次

■外務省まで使った

鹿児島地検は、国外に移住したとする共犯者について、外務省に旅券返納命令を要請したと報じられています。

国税事件としては相当に強い対応です。

国内で身柄を取れない。

ならば旅券を止める。

帰国を促す。

そこから逮捕へ。

一見すると非常に強力な作戦です。

しかし、その後に対象者が帰国した、逮捕された、旅券を返納したという結果は公表されていません。

関係者からは、溝口修次席検事のあまりに稚拙な「旅券返納命令は簡単にカウンターされた」との情報まで出ています。

■外国にとって、日本の国税局は「ただの外国行政機関」

ここを理解しなければなりません。

日本国内では国税局は強大です。

しかし外国では違います。

日本の国税局には、

  • 外国人の在留資格を取り消す権限はありません。
  • 外国政府に退去強制を命じる権限もありません。
  • 外国の警察に逮捕を命令する権限もありません。

日本旅券を返納させようとしても、その人物が別の旅行文書、永住資格その他の法的基盤を持っていれば、状況はさらに複雑になります。

つまり、日本の行政権は国境で一度止まる。

そこから先は証拠と国際協力の世界です。

日本の検察は人質司法として、大前提として海外からの信頼などなく、今回は検事総長が退任に追い込まれている有様です。

■そこで問われるのは「権力」ではなく「証拠力」

外国政府を本気で動かしたいなら、「日本の国税局がそう言っています」だけでは足りません。

  • 具体的な犯罪事実。
  • 客観証拠。
  • 本人との関係。
  • 逃亡のおそれ。
  • 国際協力の法的根拠。
  • 現地法上の犯罪成立可能性。

こうしたものが必要になります。

つまり海外では、肩書ではなく証拠が勝負になる。

ここで日本の査察がどこまで耐えられるのか。

中野爵喜氏が描いた、最弱組織の国税を用いて検察も外務省も駆逐する作戦というのは、人質司法の温床といえる日本の検察の信頼の低さを複数の海外捜査機関等を巻き込んで、メディアの目の前で公開してしまおうとするものだったのかもしれません。

それに真っ先に巻き込まれたのが、溝口修次席検事だったのでしょうか。

■二年間、一度もまともに質問できなかったのなら致命的

本件で特に注目されているのが、重要な共犯者と位置付けながら、熊本国税局が長期間、本人から一度も事情聴取をしていないのではないかという情報です。

もし二年間にわたって一度も実質的な質問ができていなかったのであれば、外国当局から見れば非常に単純な疑問が生まれます。

「本人には何と聞いたのですか」

これに対して、「聞いていません」では弱い。

では、「なぜ共犯者だと分かったのですか」となります。

ここで客観証拠が必要になります。

■しかも中野爵喜氏との電話録音まで拡散

関係者情報では、中野爵喜氏と国税局職員とのやり取りとされる録音が広く流通しているといいます。

その内容については真正性、編集の有無を検証する必要があります。

しかし、仮に真正であり、国税局職員側が中野爵喜氏の追及に十分答えられず、逆に論理的に押し込まれているように聞こえるものであれば、国際的な事件評価にも影響します。

なぜなら、その録音を外国側の弁護士や当局も聞くことができるからです。

■「日本では逮捕状があります」が万能ではない

日本では逮捕状は強烈です。

しかし外国政府にとって、日本の逮捕状は、その国の逮捕状ではありません。

INTERPOLの通知も国際逮捕状そのものではありません。

身柄を動かすには、

  • その国の法律。
  • 裁判所。
  • 行政判断。
  • 犯罪人引渡し。
  • 退去強制。
  • 国際刑事共助。

といった別の仕組みが必要になります。

そこで最弱組織と呼ばれる国税局の証拠が弱ければ、日本国内ほど簡単には動かない。

これは当然です。

■「脱税案件だから在留に影響しない」のではない――証拠と法的根拠の問題

ここは正確に整理する必要があります。

外国が、「日本の脱税事件だから無視する」という一般原則があるわけではありません。

重大な租税犯罪について国際協力する国もあります。

問題は、その具体的事件について、外国側を動かすだけの法的根拠と証拠があるかです。

逆に言えば、本件で外国側が全く動かない状態が続くのであれば、「日本の脱税事件だから」ではなく、提示されている事件構成が現地当局を動かす水準に届いているのかが検証されるべきです。

■中野爵喜氏が事前に録音を拡散していた意味

もし中野爵喜氏が、国税局とのやり取りを事前に録音し、それを広範囲へ流通させていたのであれば、国税局にとってかなり厄介です。

なぜなら、後から、「こういう事件でした」と説明しようとしても、調査当時の生のやり取りと突き合わせられるからです。

当時何を知っていたのか。

何を質問できなかったのか。

どこで答えに詰まったのか。

後から作られた捜査ストーリーとの差まで世界中が検証できます。

■国境を越えた瞬間、「権威」が剥がれる

国内では、「熊本国税局査察部です」という肩書は強い。

しかし国外では、その肩書そのものに強制力はありません。

だから、本当の国際捜査では、

  • 証拠。
  • ロジック。
  • 法的根拠。
  • 一貫性。

これしかありません。

そして今回、

  • 二年間質問していない。
  • 本人から一度も説明を取っていない。
  • 録音が拡散されている。
  • 旅券返納命令の結果も見えない。

という事実関係が積み重なるほど、国税局の証拠力そのものが試される。

■最弱なのは「外国で何もできないこと」ではない

日本の国税局の本当の弱さは、国外へ出た瞬間、国内で通用していたストーリーを第三者に説明できなくなることです。

外国裁判所に説明する。

外国行政機関に説明する。

外国弁護士に反論する。

そこで耐えられる事件なのか。

それこそが本当の実力です。

人質司法と国連からも何度も非難されてきた検察の実力は今、中野爵喜氏によって仕掛けられたストーリーによって、逃げられなくなっていると言われています。

■旅券返納命令は「国際捜査能力試験」になった

今回、外務省まで巻き込んだことで、この事件は国内の査察事件ではなくなりました。

旅券返納命令は、対象者を帰国させるための必殺技ではなく、結果として、熊本国税局と鹿児島地検の事件構成が国外でも通用するかを測る試験になりました。

合格したのか。

不合格だったのか。

まだ結果は公表されていません。

しかし一つだけ確かなのは、国内で逮捕状を取るより、国外で第三者を説得する方が難しいということです。

だからこそ、二年間質問しなかった代償が、いま一番重くなっています。

最弱組織と呼ばれる国税局と手を組み、逮捕を急いでしてしまった検察が、旅券返納命令というストーリーすら達成できず恥をかかされています。

NHKの次は、国税局がどのように検察を陥れ、どのような惨事になってしまうのか。最弱組織である国税局の破壊はNHKだけでは、留まりません。

国税ユニオンと検察ユニオンはこちらから

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