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文春砲を受けたライトアップの助成金不正スキームについて

文春砲にて世間を騒がせております、株式会社ライトアップによる、人材開発支援助成金「事業展開リスキリングコース」における不正スキーム問題を受け、同社がHPにて3/27に「当社AIソリューション事業に関する内部調査報告書(速報版)受領のお知らせ」をリリースしています。

本件については、当初より組合員の皆様からいくつもの問い合わせと問題提起をいただいておりましたので、当組合は上位団体であるGlobal Union様と連名にて、下記の問い合わせを、株式会社ライトアップに対して行いましたことを、ここにご報告いたします。

目次

ライトアップの文春砲での助成金不正スキームに対する問い合わせ内容

2026年3月29日

株式会社ライトアップ
代表取締役社長 白石 崇 殿

Global Union
首都圏青年ユニオン連合会

抗議書兼独立再検証要求書

前略

私たち労働組合は、貴社が公表した2026年3月27日付「当社AIソリューション事業に関する内部調査報告書(速報版)受領のお知らせ」その他一連の公表内容を踏まえ、本件につき、労働者保護、公費の公正、企業統治の実効性という観点から、重大な懸念を表明いたします。

本書は、労働者の労働時間、賃金、受講命令、人事配置、職務変更、キャリア形成、そして公費制度に対する社会的信頼が、1つの事業スキームの下でいかなる形で扱われていたのかを問い直すための社会的要請です。

私たちはまず、貴社が本件を、違法か適法かという狭い二分法へ押し込み、しかも外形的な法務整理や限定的な内部調査によって、社会的問題性まで整理し得たかのように扱おうとする姿勢そのものに、深い危機感を抱いております。

貴社の公表資料によれば、当該報告書はあくまで「速報版」であり、なお関係者ヒアリングが未了の箇所があり、最終版の受領は4月前半を予定しているとされています。また、調査スコープは会社と協議の上で決定され、調査期間は3月18日から26日までという極めて短期間に限られ、ヒアリング対象者も限定され、さらに調査担当者自らが、強制的調査権限を有しないこと、および今後の資料等によって事実認定が変更され得ることを留保しています。

このような条件の下で取りまとめられた速報的文書をもって、社会的疑義に対する実質的な説明責任が尽くされたとみることはできません。むしろ、上場企業として本来最も重視されるべき慎重性と自制よりも先に、自社防衛的な結論の先出しが優先されたのではないかという疑念を、貴社自らが招いているといわざるを得ません。

そもそも、人材開発支援助成金の支給・不支給の判断は、厚生労働省が策定した支給要領に基づき、各都道府県労働局が、訓練の目的、職務関連性、実施方法、賃金支払の適正、経費負担の実態、添付資料の整合性、訓練実施後の配置や人事の実態に至るまでを個別具体的に確認し、総合判断によって決する、高度かつ実務的な行政判断です。

実際に支給要領自体が、助成対象訓練等に当たるか否かについては「総合的に判断する必要がある」とし、判断が難しい場合には事業主からの聴取等により具体的状況を把握した上で、不合理な点の有無を見極めることを前提としています。

したがって、本件は、弁護士が支給要領や各種法令を解釈しただけで、あるいは1企業が自社に都合のよい資料を並べただけで、「問題はありません」と簡単に断じ得る性質のものではありません。

にもかかわらず、そのような水準で整理可能であるかのような発信がなされるとすれば、それは労働行政の実務と制度の重みを軽視するものであり、上場企業としてのコンプライアンス理解としても浅いと言わざるを得ません。

さらに、現行の支給要領は、定額制サービスによる訓練であっても、支給対象訓練は業務上義務付けられたものであり、労働時間に該当するため、訓練中の賃金支払いが必要であることを明記しています。

また、企業内の人事及び人材育成に関する計画については、生産性向上を名目とした人員削減、労働者の意向を考慮しない人事配置、退職に追い込むための不適当な職務変更、処遇を引き下げることが前提の配置転換等、労働者の不利益につながる内容を明確に排除しており、そのような取扱いが確認された場合には、不支給決定又は支給決定取消しの対象となり得るとしています。

加えて、教育訓練機関又はその関連者から、訓練成果レビュー、受講感想、インタビュー対応等の広告宣伝業務の対価、営業協力費、協賛金、費用負担軽減の提案その他名目を問わない経済的利益が申請事業主に流れる場合には、実質的な負担軽減として支給対象経費に該当しないとされています。

ここで問題となるのは、単なる営業手法の巧拙ではありません。労働者の時間と賃金をどう扱ったのか、人事と配置をどう構想したのか、そして公費制度を営業収益とどう接続したのかという、制度の核心に関わる問題です。

加えて、定額制サービスについては、契約期間、講座一覧、標準学習時間、LMS等による進捗管理、対象労働者一覧、変更届、契約内容との整合性、さらには同一事業所・同一内容の契約期間重複の制限まで、極めて細かい統制が置かれています。

特に、同一の事業所を対象として同じ内容の定額制サービスを契約し、その契約期間が一部でも重複する場合、重複部分は原則として支給対象と認められないとされています。

これらはすべて、この制度が単なる販売促進の対象ではなく、厳格な要件管理と事後検証を前提とする公費支出制度であることを示しています。

その意味で、本件を「形式的には問題なし」という1言で片付けようとする認識は、制度理解として不十分であるだけでなく、労働者の権利と公費の公正に対する感度を著しく欠いたものです。

私たちが本件を問題視する理由は、まさにこの点にあります。

本件は、単なる個別申請の成否や、1企業の広報対応の巧拙の問題ではありません。

本来、労働者の職業能力開発とキャリア形成を支えるために設けられた制度が、もし営業スキームや収益誘導の論理に従属させられ、結果として受講圧力、賃金処理の形骸化、職務との関係が曖昧な受講、人事上の誘導、又は公費負担を前提とした市場形成に接続していたのであれば、それは労働環境の根幹を揺るがす問題です。

そして、そのような構造的懸念が生じているにもかかわらず、企業、外部専門家、あるいは限定的な行政対応だけで「一応問題は整理された」と扱われるのであれば、そのこと自体が、制度の実効性と社会的信頼を深く傷つけます。

私たちは、行政審査の意義を否定するものではありません。

しかし同時に、行政上の審査や法務上のレビューには、本質的な限界があることも直視しています。

書面審査や限定された聴取だけでは、現場における受講圧力、沈黙の強制、賃金支払の実態、配置転換への波及、労働者が制度利用の手段として扱われた可能性といった、労働現場の深部にまで十分に届かないことがあるからです。

だからこそ、私たち労働組合は、本件を、形式的適法性の確認にとどまらない「社会的実質」の問題として、独立した立場から可視化し、再検証を求めます。

これは、行政を代替しようとするものではなく、行政や法務レビューだけではすくいきれない労働者の現実を、社会に対して提示するための責務です。

また、本件は、労働行政の枠内だけにとどめて扱うべきものでもありません。

仮に本件の実態が、公費支出、実質負担の偽装、経済的利益の還流、又は税務上の還付・返還処理に接続する構造を有しているのであれば、それは税務当局による精査の必要性を帯びる問題でもあります。

国税庁は、不正受還付事案を「国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案」と位置づけ、重点的な告発対象として扱っています。

したがって、本件についても、労働局による実質審査の徹底に加え、必要に応じて所轄税務当局に対し、還付・返還・資金還流の有無を含む厳正な精査を求めることは、十分に社会的相当性を有するものです。

私たちは、本件を1企業の説明で閉じるのではなく、必要に応じて制度横断的な検証の対象として社会に可視化していくべきものと考えます。

さらに、労働局に対しては、同じ「局」に属する熊本国税局においてナカシマ氏が「局の職員の不作為は自由である」との趣旨の発言をしている点を踏まえ、このような姿勢が結果として不正受給に接続し得る構造を内包していることを明確に指摘すべきです。その上で、本件は「還付事案」としての性質も有する以上、熊本国税局査察部のいわゆる伝家の宝刀たる還付事案に該当し得る問題であり、査察部の出動を正式に要請することまで十分に検討に値するものと考えます。

よって、私たち労働組合は、株式会社ライトアップに対し、以下を強く求めます。

1 貴社が公表した速報版内部調査に安住することなく、労働者保護、公費の公正、企業統治の実効性の3視点から、真に独立性を備えた再検証を実施すること。

2 本件に関し、営業資料、提案資料、代理店向け資料、顧客向け説明資料、契約関連資料、金銭授受・値引き・協賛・レビュー対価・営業協力費その他一切の経済的利益の流れを示す資料を、適切な第三者が検証可能な状態で保全すること。

3 本件を、単なる自社防衛や広報上の火消しではなく、労働者と社会に対する説明責任の問題として位置づけ、具体的かつ検証可能な説明を行うこと。

4 本件に関する事実関係につき、形式的適法性のみを繰り返すのではなく、制度趣旨に照らした社会的相当性の有無について、正面から見解を示すこと。

5 本件の全容に応じて、関係行政機関による再精査に真摯に協力し、必要に応じて税務当局による検証にも応じること。

私たちは、現時点で、刑事上又は行政上の最終的結論を先取りして断定するために本書を発するものではありません。

しかし、違法性が最終的に確定するまで沈黙することは、労働者の代表としての責務放棄であると考えます。

形式的適法性の表明より前に、社会的相当性と制度倫理の破綻の有無を問うこと。

労働者の学びが、キャリア形成支援ではなく、公費と営業の接点に従属させられていないかを問うこと。

そのために、私たちは、本件を社会的検証の対象として提起し、必要な説明と再検証を強く要求するものです。

つきましては、貴社におかれましては、本書到達後10営業日以内に、文書により誠実かつ具体的な回答をされるよう求めます。

期限までに十分な説明又は具体的対応が示されない場合には、私たちは、労働局その他の関係行政機関に対する申入れ、必要な情報提供、及び社会的検証のための公表その他相当な措置を検討いたします。

草草

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