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タイミー上場にアクティビスト田端信太郎氏が呈する疑問

目次

田端信太郎氏が指摘する2つのタイミーへの疑問

前回記事の後段でもタイミー社の上場が本格的に報道され始めた点に言及しておりましたが、タイミー社の上場が正式に東京証券取引所より承認された様です。

タイミー社に対しては、労働者の目線から、法律違反の強い疑いがあるとして、当組合からも度々追及を繰り返してきましたが、X(旧Twitter)にて、過去にLINEやZOZOで執行役員を務めてきた田端信太郎氏が、一般株主の視点からタイミー社に対して、アクティビストらしい苦言を呈しています。

本記事投稿日時点での田端氏ご自身の固定ツイート

ツイートだけではなくYouTubeも拝見しましたが、タイミーが会社法に違反している可能性について、分かりやすく言及されています。

渡辺雅之社外取締役の利益相反取引の疑いについて

田端氏が指摘されているのは、2021年8月からタイミーの社外取締役に就任し現在も任期中である渡辺雅之氏が、2022年9月に上場企業である株式会社メルカリの社外取締役に就任しているにも拘らず、タイミーと競合する同業サービスである、空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」、をメルカリが2024年3月にリリースしている点についてです。

会社法356条では、取締役は株式会社と利益の相反する取引等は原則禁止されています。

(競業及び利益相反取引の制限)

第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。

 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。

 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号又は第三号の取引については、適用しない。

会社法

この点について、東京証券取引所の公式HPに掲載されているタイミーのコーポレートガバナンス報告書には、下記の様に記載されています。

同氏と当社間において、独立役員指定に係る東京証券取引所規則所定の項目のような特別な関係・属性は認められないため、一般株主と利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏は独立性を有する者と考え、 当社独立役員として指定しております。 なお、同氏は株式会社メルカリの社外取締役を兼任しており、同社が 2024年3月6日よりサ ービスを開始した「メル カリ ハロ」と当社サービスは競合関係にあると 考えておりますが、同氏と同社との間で、同氏が同社に対して当社に関する未公表情報を共有しないこと、同氏が当社に対して「メルカリ ハロ」に関する未公表情報を共有コーポレートガバナンス CORPORATE GOVERNANCE 5 しないこと等を定めた秘密保持契約を締結し、さらに同氏と当社との間 で、同氏が当社に対して「メルカリ ハロ」に関する未公表情報を共有しないこと、同氏が同社に対して当社に関する未公表情報を共有しないこと等を定めた秘密保持契約を締結しており、同氏の独立性に影響はないと判断しております。同氏は、当社株式を360,000保有しておりますが、僅少であり、その他に同氏と当社との間で人的関係、取引関係及びその他の利害関係はないため、同氏の独立性に影響はないと判断しております。

要するに、

  • 機密情報は漏らさないという秘密保持契約を結んでいる点
  • 渡辺氏が保有するタイミーの株式が360,000株と僅少である点

の2点をもって、一般株主と利益相反がなく独立性は担保されているとの主張です。

ですが、田端氏ご自身や田端氏のYoutubeやXでのコメントでも多くの方に指摘されている様に、この説明では説得力に欠けると感じることの方が一般的ですし、当組合としてもこの報告内容では

  • 一見するとまるっきり同じサービスではないか、と一般的にも見受けられる競合サービスについての秘密保持を遵守した場合、(特にマッチング事業のみが主事業と言えるタイミー社において)現実的に両社を社外取締役として兼任してもその役割を十分に発揮できるのであろうか?
  • 本記事投稿時点で時価総額1300億以上になると言われる株式の0.33%(360,000株)は金額にすると約5億円相当であり、これを僅少だとして独立性に影響はない、というのはタイミー社と渡辺氏の社会的影響力を鑑みても、説明不足が過ぎるのではないか?

といった疑念を強く感じざるを得ません。

なお、当組合がこれまで指摘して来たタイミー社の数々の問題点は、当然「メルカリ ハロ」についても同様に当てはまる可能性がある事であり、当組合としては同一の問題として今後も注視していきます。

タイミー元取締役COOである守安功氏のセクハラ辞任について

田端氏は渡辺氏以外にも、過去に取締役、それも実質的なNo2の立場と思われるCOO(最高執行責任者)であった守安功氏が、約2年前に女性社員へのセクシャルハラスメントで退任した件についても言及しています。

https://bunshun.jp/articles/-/55714

文春での記事にある通り、コロナ禍の蔓延防止等重点措置の適用中に行われた女性社員の送別会に、代表の小川氏と共に出席した際に、守安氏がセクシャルハラスメントをしたとの事です。

「送別会で守安さんが女性社員にハラスメント行為を働きました。私も同じ場にいたのに止めることができずに申し訳ありません。この時期に飲みに行ったことも申し訳ありません」という小川氏の主張にも耳を疑うものがありますが、タイミーの人選についての田端氏の下記の疑問についても、多くの方が共感するでしょう。

タイミーの上場が承認された事で起こりうる労働者への大被害

このように、承認がおりて数日と経たずに、早くも開示資料にツッコミを入れられているタイミーですが、東京証券取引所は、一体なんの審査をしたのでしょうか。

上場審査は、監査法人が監査証明を発行し、主幹事証券が上場申請企業を指導した上で、東京証券取引所が責任を持って承認非承認を審査するわけですが、この方の指摘にもある通り、上場準備中は、

  • 少しでも未払賃金が発覚する
  • 取締役会などの運営に不備があった
  • 株式やストックオプションの取り扱いを間違えた
  • 予算と実績に差異があった
  • 役員や従業員に不祥事があった

など、少しでも当てはまると審査がストップする、というのがIPO界隈での常識であり、上場承認前に上場の噂が漏れただけでも、承認までこぎつけるのは困難になると言われています。

タイミー社については上場前に大々的な報道もあり、上場承認前から著名なインフルエンサーである田端氏に指摘を受け、その他の方からも続々と指摘されている状況であるのに、なんの誠実な回答もないまま、そのまま承認されてしまうという、極めて異例な上場劇と言えます。

タイミー社については当組合から度々の指摘を受けており、それを知るはずの東京証券取引所は、当組合からの質問状を受け取ってでも、それら全てを押し切って上場を承認したわけです。

タイミーの株主には、名だたる企業や著名人が含まれています。

そして、1番肝心なタイミー利用者からの口コミが非常に悪い事は重要な事実の一つです。

こんなにも問題点があればまず普通の企業なら上場が即頓挫してしまう状況であるにも拘らず、タイミーの上場を承認した東京証券取引所・主幹事証券・監査法人やタイミーに影響力のある株主達については、当組合のみならず世間からも指摘されている多くの問題について見向きもせずに強引な上場承認に踏み切ったわけですから、いざ上場後に大きな社会問題が巻き起こった際は、世間からの厳しい責任追及は避ける事は出来ないでしょう。

いつの時代も、最後のツケを払わされるのは労働者であり、当組合としては、タイミーやメルカリを利用する労働者だけではなく、両社で働く従業員に対しても被害が拡大していかないようにと祈りつつも、日々の組合活動に励んでいきます。

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この記事を書いた人

首都圏青年ユニオン連合会が運営する労働者のミカタです。労働者のミカタは、全てのブラック企業やブラック団体から、健全に働く労働者を守ります!

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • タイミーアプリを利用して、過去に就業歴のある企業名(店舗名等含む)および、その企業からの評価が、企業側の管理画面で閲覧できるのはご存知でしょうか?
    ワーカーの利用規約にも記載されておりませんし、タイミーのHPで「企業側に公開される個人情報は?」と質問しても、就業歴や評価が公開されていることは記載されておりません。
    また、それらを見た企業担当者は、マッチングした評価の低い方をキャンセル処理を行っているのが現状です。
    タイミーは人材紹介会社であり、採用に不利益を与えるような情報を企業に提供してはいけないはずです(職業安定法)。
    完全に違法行為と見ています。
    こんなことが行われているということを、大半のワーカーが知らない情報かと思います。
    実際に企業担当者からタイミーの管理画面を見せてもらいましたが、さすがに写真は撮れませんでした。

    • 鋭いご指摘ありがとう御座います!
      人類の歴史上、奴隷制度の時代から、長年解決が出来ないのが使用者と労働者の問題であり、それゆえ多くの国の憲法で、労働者の権利が厚く保障されているわけです。
      ゆえに、労働者関連の法令はどの国も歴史の重みみがあり、いかにテクノロジーが進歩しようとも、本質的な問題を解決した形でイノベーションを起こす事は非常に難しい事です。
      そして、タイミーやメルカリなどの追随する業者についても、ただ法律のスキマをついているだけで、根本的な問題は一切解決出来ていなくて、その現れが如実にタイミーの口コミに現れてますよね。
      タイミー側は自分たちは関係ない、企業側の問題だ、と責任逃れをする体質である事は、当組合への対応を見ても明白です。
      当組合ならず世間からの声も無視して上場を強引に承認した東証については、例え株主が有力者だらけだとはいえ、その審査基準には非常に疑義が生じております。
      当組合としては引き続き労働者が虐げられない健全な環境を目指して活動をしていきます!

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