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熊本国税局査察部の査察対応と精神疾患、そして社会保障の連鎖――法制度から見た“見過ごされるリスク”

本件においては、労働組合の共有物が押収され、かつ組合員らに対して質問検査権が実質的に行使されないまま、一定の評価が先行していると受け止められ得る状況が生じている。

このような状況において、当事者が強い心理的負荷を受けることは、一般的な医学的知見に照らしても十分に予見可能であり、結果として精神疾患の発症に至る可能性があることは否定できない。

さらに、本件では、岡博史氏および太田啓介氏が、北村厚熊本国税局長の指示のもと、福岡空港という公衆の面前において対応を行ったとされており、その際に精神疾患を有する者に対する具体的配慮が十分に示されなかった以上、結果として症状の増悪を招いた点も指摘されている。

それにもかかわらず、今後も対面での対応を求める一方で、具体的な配慮内容が未だに明示されていないとすれば、当該対応は、合理的配慮の観点から適切性を欠く。

このような違法な対応が継続されている以上、対象者が恐怖や強い不安を感じることは自然な帰結であり、その結果として複数の者に精神的影響が生じることも十分に想定される。

■ 社会保障制度との関係

ここで重要となるのは、精神疾患が発症した場合に利用される社会保障制度である。

① 健康保険(傷病手当金)

健康保険法に基づく傷病手当金は、

  • 業務外の傷病
  • 労務不能
  • 連続3日間の待期
    を満たした場合に支給され、

支給期間は最長1年6か月(通算)

と定められている。

一方で、被保険者資格を有する限り、
「新たな傷病が発生した場合には、再度支給対象となり得る」

という制度構造となっている。

② 労災保険(休業補償給付)

業務起因性が認められる場合には、労災保険法に基づき、

休業補償給付(給付基礎日額の60%)
休業特別支給金(20%)

が支給される。

労災給付については、

療養の必要が続く限り、期間制限なく支給され得る

という点に特徴がある。

■ 制度がもたらす現実的影響

これらの制度を踏まえると、仮に入社初期の段階で精神疾患により休職に至った場合、

本人は一定の所得補償を受けることができるものの、

実際に得られたであろう賃金水準を下回る生活水準

となることが一般的である。

また、企業側においては、

人員計画の破綻
業務継続への影響

といった重大な経営リスクが生じる。

したがって、査察調査は、労働組合とは切っても切り離せない密接な関係を持っている。

■ 「継続する調査」と給付の関係

さらに、本件において、北村厚熊本国税局長および岡博史氏が、査察調査に期限が存在しない旨の認識を示した以上、

仮に傷病手当金の支給期間(1年6か月)が満了した後であっても、

熊本国税局によって、新たな心理的負荷が発生し
新たな傷病として認定される

場合には、

再び社会保障給付の対象となる可能性がある

という構造が存在する。

つまり、査察調査に期限が存在しないのであれば、査察調査に付随して新たな傷病も無期限に発生することになり、甚大な国庫負担を生じさせてしまう事態となる。

■ 結果として生じ得る問題

このような制度構造のもとでは、

  • 調査の長期化
  • 心理的負荷の継続
  • 新たな傷病の発生

が繰り返されることにより、

社会保障給付の増加
国庫負担の拡大

が生じる可能性がある。

本件は、単なる税務手続の問題ではなく、

労働環境
健康
社会保障

という複数の制度にまたがる問題である。

■ 最後に

法治国家においては、制度は正確に理解され、適切に運用されることが前提となる。

したがって、本件に関しては、

関係法令の正確な理解
制度の適正な運用
個々人の権利保護

の観点から、冷静かつ継続的な検証が求められる。

また、組合員に対しては、制度を知らないことによって不利益を被ることのないよう、今後も正確な情報提供を行っていく。

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