会社側と団体交渉をするにあたって、実際に会社に赴くなどの負担が従業員の皆さんにのしかかってしまうことがあります。
団体交渉の場所については、労使双方の協議の上設定を行っていくのが通例ですが、中央労働委員会は、日本モーターボート競走会不当労働行為再審査事件(平成22年5月10日)において、次のような判断をしています。
まず、組合員の就業場所等、当該組合と使用者の労使関係が展開している場所を基本としつつも、使用者がそれ以外の場所を指定したことに合理的理由があり、かつ、当該指定場所で団交をすることが当該組合や組合員に格別の不利益をもたらさないといえるときには、正当な理由があると認められ得るが、これらの事情が認められない場合には、他に特段の事情がない限り、組合が開催場所に同意しないことを理由に団交を拒否することには正当な理由が認められないとしました。
従業員にとっては、使用者と交渉するために遠隔地に移動しなければならないというのでは、経済的にも、時間的にも負担が大きいのに対し、使用者はそれほどの負担なく対応可能であるといえます。
会社側の都合で、いたずらに場所や期日を変更することは、正当な理由なき断交拒否(不当労働行為)に該当する場合があります。
山川運輸(静岡県富士市)は、緊急事態宣言期間中に休業はせずに営業活動をしておきながら、
団体交渉においては、緊急事態宣言だから対面での交渉はできないと主張しています。山川運輸のように、営業活動だけを優先し、声をあげる労働者を支援する労働組合を軽視し続ける行為に、声をあげていきましょう。
ぜひとも首都圏青年ユニオン連合会に加入し、会社側と話し合いを進めましょう。
山川運輸: 合意無き賃金カット▶給与振込で納得したことになる?