中央労働委員会
審査委員 荒木 尚志 殿
(申請者)
首都圏青年ユニオン連合会
グランティア不当労働行為事件(中労委令和2年(不再)第33号)にかかる取下書
みだしの件について、申請いたしましたあっせん申請の全部を次の理由により取り下げます。
記
1、 取下理由
本事案において、労働委員会に対し、書面にてお伝えしてきたとおり、当組合が救済を申し立てた大きな理由は、「労働者」が退職によって、使用者から常軌を逸した高額な受講費を請求され、その後の日常生活及び社会生活に支障をきたさぬように、これを防禦することを目的としておりました。
労働委員会の事務所掌については、労働三権のうち団体交渉権にのみ判断を下し、使用者に対して、指導、あっせん、仲裁をすることであるという認識でございます。
しかしながら、労働委員会におかれましては、2年もの歳月を経過した今も、決定を下しておりません。
この2年もかかるような救済申し立て制度を活用するしかないような労働組合は今後の世の中において自然淘汰されることは目に見えており、現にすでに労働組合の加入率の低下は歯止めが効かなくなっております。そして、当然、労働者もこの制度を充実させることの出来ない労働委員会に対して、失望し、全く期待を寄せることもなく、もはや救済先としての認識すらされなくなりつつあることは、労働者からの利用状況を見ても明らかとなっております。
一方で、当組合といたしましては、今回、この2年という労働者にとっては決して待つことの出来ない期間がかかる救済申立て制度を、意識的に有用活用させていただきました。
つまり、当組合としては、「使用者が労働者に対して請求する事案について、その攻撃を止めるための手段として労働委員会を活用する」という目的を掲げ、大いに利用させていただきました。
そして、私たちの当初の計画どおり、労働委員会には、審査期間を短縮しないまま、漫然と手続きを進行していただくことでこの機能を十全に果たしていただきました。
今回の活動により、使用者側から労働者に対しての高額な請求は、労働委員会の長期にわたる審査期間によって、その請求を止めることができることが明らかになりました。労働委員会が本来果たすべき機能ではないデメリットを有能な労働組合が意識して活用することで、労働者は訴訟費用を使うことなく、日常生活及び社会生活を保護することができ、まもなく時効が成立するところまで参りました。
つきましては、当組合員の全組合員にとって、「中央労働委員会の見解」は、もはや無用の長物となり、不要になりましたので、当組合の当初の計画どおり、労働者の保護が叶いました本日をもって取り下げをさせていただきます。
2、 添付資料
なし
以上